ベルギーHasselt大学のLiesbeth De Winter氏

 関節リウマチ(RA)の初期診断では、リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体など、既存の診断抗体が陰性の血清反応陰性RAや早期RAの診断は難しい。これらの診断に、新たな抗体群がバイオマーカーとして有用である可能性が示された。新規バイオマーカーは、早期RAの36%、血清反応陰性RA の24%で陽性となるほか、炎症の増悪や骨びらんの発生といった予後予測にも有用となり得るという。ベルギーHasselt大学のLiesbeth De Winter氏らが、6月12日から6月15日にマドリッドで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2013)で発表した。

 2010年に発表されたACR/EULARのRA新分類基準では、罹患関節、血清学的検査、急性期反応物質、症状の持続などをスコア化し、10点満点で6点以上の場合にRAと診断する。しかし、RA患者の3分の1は診断後も既存の診断抗体が陰性のまま(血清反応陰性RA)となる。また、新分類基準を用いても、早期RAの診断は難しい。

 Winter氏らはこれまでの研究で、RA患者の滑膜組織から作成した遺伝子ライブラリーを用い、診断後1年未満の早期RA患者と、RF抗体および抗CCP抗体が陰性のRA患者の血漿から、UH-RA.1、UH-RA.9、UH-RA.14、UH-RA.21と呼ぶ4つの候補抗体を見出した。

 今回の発表では、これら抗体の反応性をRA 292例(早期RA 39例、血清反応陰性RA 98例を含む)、リウマチ対照群(乾癬性関節炎、シェーグレン症候群などを含むリウマチ性疾患群)90例、健常対照群97例で評価した。

 その結果、候補抗体をまとめたUH-RAパネルの全RA例に対する感度は26%。リウマチ対照群を含む全対照群における特異度は84%だった。

 早期RAに対して、UH-RAパネルは39例中14例で陽性となり、感度は36%と全RA例における感度より高かった。また、血清反応陰性RAに対してUH-RAパネルは98例中24例で陽性となった。

 本検討におけるRA患者のうち、RF因子と抗CCP抗体が共に陰性なのは34.4%。そのうち24%(全RA患者の8.4%)はUH-RA抗体陽性となるため、血清反応がすべて陰性のRA患者の比率がその分、減少することになる。

 次に、UH-RA抗体による予後予測の可能性について検討した。抗UH-RA.21抗体陰性例の赤血球沈降速度(ESR)高値は17%、陽性例では35%で、陰性例に対する陽性例のオッズ比は2.69(P=0.0038)と有意に炎症が高くなっていた。また骨びらんの発生率も、抗UH-RA.21抗体陰性例に対する陽性例のオッズ比が2.33と有意に高くなっていた(P=0.0067)。

 これらの結果からWinter氏は、「新規バイオマーカーのUH-RAパネルは、RF抗体、抗CCP抗体が共に陰性のRA患者で24%が陽性となり、既存マーカーとの併用で診断精度を向上する可能性が示された。また、抗UH-RA.21抗体は炎症や骨びらんの予後予測にも有用である可能性が示された」と結論した。