フランスBrest University Medical SchoolのAlain Saraux氏

 ステロイド関節リウマチ(RA)の症状軽減に有用だが、一定量以上の長期投与は骨粗鬆症をはじめ、代謝系や消化管系、心血管系などのイベントを発生させる恐れがある。フランスBrest University Medical SchoolのAlain Saraux氏らは、RA患者に抗IL-6受容体抗体薬のトシリズマブ(TCZ)を投与することで、3分の1以上の患者で6カ月以内にステロイド投与量を5mg/日以下に減量できる可能性があることを、6月12日から15日までマドリッドで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2013)で報告した。

 研究グループが実施したのはSPARE-1と呼ばれ、フランス国内における多施設共同の非介入研究で、TCZ投与患者の疾患活動性とステロイド投与量を12カ月間前向きに追跡。今回は6カ月後までのデータを解析した。

 対象は、2011年2月から2012年3月までに登録した、18歳超の中等度から重度のRA患者で、主治医がTCZ投与(8mg/kgを4週間隔で点滴静注)を必要と判断し、5mg/日以上(プレドニゾロン換算)のステロイドが3カ月以上投与されていた322例。試験開始後、TCZが投与されなかった7例と、登録基準を満たさなかった7例を除外し、308例が解析対象となった。

 患者背景を見ると、年齢が57歳、女性比率が78%、RA罹病期間が平均10年、中央値が8年だった。リウマトイド因子または抗CCP抗体の陽性例が82%、びらん性関節炎の患者が79%。また骨粗鬆症合併が30%で、そのうちの37%が骨折の既往を有し、84%が骨粗鬆症治療を受けていた。前治療における抗リウマチ薬(DMARD)の効果不十分例が29%、生物学的製剤の効果不十分例が70%で、TCZの単独療法で治療を開始したのが38%だった。

 DAS28の平均値の推移を見ると、初回投与時が5.1だったが、その後は減少傾向にあり、1カ月ごとに3.5、3.1、2.9.2.8、2.7と低下し、6カ月後は2.8だった。6カ月後の時点で、EULAR改善基準のgood responseを59%が、moderate responseを25%がそれぞれ達成し、no responseは16%だった。

 CDAIに関しては、ベースラインの26.9から6カ月後には12.2に、またSDAIは同じく28.8から12.8にそれぞれ改善した。

 ステロイド投与量については、TCZ初回投与時の平均が15mg/日、中央値が10mg/日だった。初回投与時における投与量別の割合は、5mg/日以下が0%、5mg/日超7.5mg/日以下が26%、7.5mg/日超10mg/日以下が44%、10 mg/日超が30%だった。

 5mg/日以下の患者は当初いなかったが、1カ月経過するごとに12%、18%、24%、31%、36%と次第に増加し、6カ月後には40%に達した。その一方、10mg/日超の割合は初回投与時30%だったが、その後少しずつ減り、6カ月後には14%まで減少した。6カ月後には34%がDMARDを増量することなく5mg/日以下となり、9%はステロイド中止を達成した。

 安全性に関しては、TCZが1回以上投与された315例を対象に解析。有害事象が1件以上報告されたのは152例で、計380件だった。内訳を見ると、感染症・寄生虫症(31%)、消化管障害(11%)、血液系・リンパ系障害(9%)の順に多かった。TCZ関連の有害事象が1件以上報告されたのは30%だったが、これまで知られていない有害事象の発現はなかった。

 これらの結果からSaraux氏は、「ステロイド療法はRA患者に対し有効だが、忍容性などの観点からステロイドの減量や中止も治療目標になる。今回、実臨床においてTCZがRAの疾患活動性を低下させるとともに、ステロイドの減量にも貢献し得ることが示された。今回の結果を踏まえると、3分の1以上のRA患者がTCZ投与開始6カ月でステロイドを5mg/日以下に減量できるのではないか」と語った。