オーストリア・ウィーン医科大学のMiriam Gartner氏

 2000年以降のRA実臨床において、ベースラインの関節破壊は低下傾向にあるが、関節破壊の年間進行度はほぼ横ばいになっていることが示された。オーストリア・ウィーン医科大学のJoseph Smolen氏らの研究結果で、6月12日から15日にマドリッドで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2013)で、同グループのMiriam Gartner氏が報告した。

 過去20年間の関節リウマチ(RA)の臨床試験成績を振り返ると、RAの関節破壊の進行は抑制できるようになったと思われる。しかし、実臨床における実態は明らかではなかった。

 本研究の対象は、Gartner氏らの施設で2000〜2012年に3〜5年間隔で2回以上、手足のX線検査を行ったRA外来患者444例とした。関節破壊の程度はvan der Heijde-Sharp(SvdH)スコアを指標として評価した。

 ベースラインのRA罹病期間は7.4年、リウマトイド因子陽性率は64.8%、抗シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体陽性率は63.7%。444例のうち406例(91.4%)で、関節破壊の進行が確認された。

 対象を登録時期から2000〜04年(40例)、2005〜08年(211例)、2009〜12年(193例)の3期間に分類したところ、ベースラインにおけるDAS28はそれぞれ3.6、3.4、3.4、CDAIは10.6、10.0、9.5、SDAIは12.1、11.1、10.5、SvdH スコアは43.2、43.0、33.2であり、SvdHスコアには低下傾向が認められた。

 関節破壊の年間進行度(ΔSvdH スコア)は、2000〜04年群では2.4、2009〜12年群では2.2、骨びらんスコアの変化量はそれぞれ0.8、1.0、関節裂隙狭小化(JSN)スコアの変化量はそれぞれ1.6、1.3だった。なお、関節破壊が進行しなかった患者は、2000〜04年群では1例(2.5%)、2005〜08年群23例(10.9%)、2009〜12年群14例(7.2%)と少数だった。

 関節破壊が進行した406例に限定すると、年間の骨びらんスコアの変化量はいずれの期間でも同程度だったが、JSNスコアの変化量は他の2群に比べて2000〜04年群でやや高かった。

 この関節破壊進行例で、観察期間中に関節破壊が進行した関節数は、1例当たり骨びらんが3〜4関節、JSN が4〜5関節であり、3期間に有意差は見られなかった。

 3期間の初回受診時の治療レジメンは、いずれも既存の抗リウマチ薬が60%以上を占めていた。既存抗リウマチ薬投与例と生物学的製剤投与例の関節破壊進行度に有意差はなかった。

 以上の検討からGartner氏は、「ベースラインの関節破壊度は低下傾向にあり、早期治療開始など、近年の治療方針の変化を反映した可能性がある。一方、2000年以降の12年間で、実臨床における患者の疾患活動性や治療の平均的な実態はあまり変化しておらず、関節破壊の年間進行度も横ばいで推移している」と指摘した。