関節リウマチ(RA)患者ではメトトレキサート(MTX)や抗リウマチ薬が継続できない症例は少なくなく、その場合は生物学的製剤単独療法が選択肢の1つとなる。今回、オーストラリアRoche Products Pty LimitedのP. Ngo氏らは、ADACTA試験の結果を同国の医療制度に適用し、トシリズマブ(TCZ)単独療法はアダリムマブ(ADA)単独療法よりも医療経済的に優れていることを明らかにした。6月12日から15日までマドリッドで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2013)で発表した。

 ADACTA試験では、MTXに忍容性がない、あるいは治療継続が不適切なRA患者をTCZ単独療法群(163例)またはADA単独療法群(162例)に無作為に割り付け、24週後の転帰を検討した。その結果、ACR20改善率はTCZ群が65.0%、ADA群が49.4%、ACR50改善率は順に47.2%、27.8%、ACR70 改善率は32.5%、17.9%、DAS28寛解率は39.9%、10.5%、DAS28低疾患活動性達成率は51.5%、19.8%と、すべてTCZ群で有意に高率だった(順にP=0.0038、P=0.0002、P=0.0023、P<0.0001、P<0.0001)。また、事後解析のCDAI寛解率は17.2%、9.3%、CDAI低疾患活動性達成率は30.7%、19.8%と、いずれもTCZ群で有意に高かった(順にP=0.0389、P=0.0211)。

 本検討では、こうした結果をオーストラリアの医療制度に当てはめ、医療費用を試算した。総治療費はオーストラリアの保険規定である「Schedule of Pharmaceutical Benefits」に基づいて、また薬剤費はTCZ単独療法群の平均体重に基づき、患者体重が76〜80kgのときのTCZ投与量で試算した。2012年のMedicare Australiaのデータに基づき、患者の59%は私的病院で、41%は公立病院で治療を受けていると仮定。受診費用は保険給付規定である「Schedule of Medicare Benefits」に基づいて推定した。

 その結果、オーストラリアの医療制度下では、RA患者を24週間治療するのに必要な平均医療費は、TCZでは9739オーストラリアドル(AUD)、ADAでは1万722 AUDだった。

 治療効果が得られた患者1人当たりの費用を臨床指標別に見ると、ACR20達成はTCZが1万4983 AUD、ADAが2万1705 AUD、ACR50達成は順に2万633 AUD、3万8569 AUD、ACR70達成は2万9966 AUD、5万9901 AUD、DAS28寛解は2万4408 AUD、10万2117 AUD、DAS28低疾患活動性は1万8911 AUD、5万4153 AUD、CDAI寛解は5万6622 AUD、11万5293 AUD、CDAI低疾患活動性は3万1723 AUD、5万4153 AUDと、いずれもTCZの方が少なかった。

 また、治療効果が得られた患者1人当たりの増分費用を総治療費とADACTA試験における達成率や寛解率を基に算出したところ、ACR20は6303 AUD、ACR50は5068 AUD、ACR70は6735 AUD、DAS28寛解は3344 AUD、DAS28低疾患活動性は3102 AUD、CDAI寛解は1万2447 AUD、CDAI低疾患活動性は9021 AUDと、いずれもTCZの方が安価だった。

 以上の検討からNgo氏は、「オーストラリアの医療制度にADACTA試験の結果を適用した結果、MTXに不耐性・禁忌のRA患者では、TCZ単独療法はADA単独療法に比べて臨床効果が高く、医療費は安価だった」と結論した。