オランダJan Van Breemen Research InstituteのAlper Michael Van Sijl氏

 関節リウマチ(RA)患者は、心血管(CV)イベントの発症リスクが高いとされる。そこで、高血圧など従来のリスク因子に加え、RA関連因子がCVイベント発症にどのような影響を与えるかを調べるために10年間の前向き追跡研究を実施したところ、生物学的製剤などで疾患活動性や炎症を改善することでCVイベントリスクを軽減できる可能性があることが示された。6月12日から15日にマドリッドで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2013)で、オランダJan Van Breemen Research InstituteのAlper Michael Van Sijl氏らが発表した。

 米国リウマチ学会(ACR)1987年基準でRAと診断された353人(平均年齢63歳、男性34.1%)を対象に、10年間の前向きコホート研究を実施した(中央値7年)。CVおよびRA関連因子の評価は、ベースライン時(2000〜2001年)、3年目(2004〜2005年)、10年目(2010〜2011年)の計3回行った。ベースライン時のDAS-28は3.91、スタチン使用12%、降圧薬の使用は26%だった。

 全CVイベント発症は、3年目24人(25.3/1000人年)、10年目58人(24.6/1000人年)で、CVイベント発症率は同程度だった。降圧薬やスタチンの使用率は追跡中に増加し、10年目における降圧薬の使用率は約50%だった。

 ベースライン時の患者特性とCVイベント発症との関連を見るために、Cox比例ハザードモデルで解析を行った結果、収縮期血圧(ハザード比〔HR〕:1.03、95%信頼区間〔CI〕1.01-1.05)、降圧薬使用率(HR:3.41、CI 1.38-8.42)、腎機能(HR:0.95、CI 0.92 -0.99)──の3つが、女性患者のみにおいて有意な関連因子だった。

 次にCVイベントを発症した患者(CV発症群)と発症しなかった患者(非CV発症群)に分けてRA関連因子の経年変化を調べた。その結果、赤血球沈降速度(赤沈)とDAS28については、2群ともベースライン時に比べて3年目までは改善が見られたが、10年目には、CV発症群は非CV発症群に比べ、赤沈、DAS28とも悪化していた。また、非CV発症群はCV発症群よりも生物学的製剤使用率が高かった(10年目における非CV発症群の生物学的製剤使用は約35%、CV発症群は約15%)。

 これらの結果を踏まえ、Sijl氏は、「効果的なRA治療薬や心血管疾患治療薬が登場した現在でも、依然としてRA患者のCVリスクは高いことが示された。RA患者においても、CVイベントの発症は、血圧や腎機能などの従来のリスク因子の影響を強く受けるが、生物学的製剤などで疾患活動性や炎症を抑えることで、CVリスクを軽減できる可能性があることが示された」と話した。