第3世代のアロマターゼ阻害剤による乳癌治療では、約50%の患者で関節痛が増悪または発現することが知られている。フランスUniversity of Franche-ComteのDaniel Wendling氏らは、関節痛の病因を探索する際、関節リウマチ(RA)やシェーグレン症候群、クレスト症候群などの自己免疫疾患の除外診断が必要と提案し、6月12日から15日にマドリッドで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2013)で発表した。

 Wendling氏らは、アロマターゼ阻害薬で治療中に発現または増悪する関節痛に関連する病因因子を探索するため、アロマターゼ阻害薬治療中に既存の関節痛が増悪した患者と、新規に関節痛を発症した患者を比較した。

 対象は、癌専門施設でアロマターゼ阻害薬による乳癌治療を行っている患者のうち関節痛が報告された女性75例(年齢64.8歳、癌と診断されてからの期間34カ月)とした。アロマターゼ阻害薬の内訳は、アナストロゾール6例、レトロゾール55例、エキセメスタン14例だった。関節痛の発現または増悪は、アロマターゼ阻害剤を使用してから平均179日で起きていた。

 これらの対象を、アロマターゼ阻害薬治療中に新規の関節痛が発現した新規発症群(38例)と、既存の関節痛がアロマターゼ阻害薬治療中に増悪した増悪群(37例)に分類し、比較した。

 その結果、癌の種類、化学療法や放射線療法の有無、アロマターゼ阻害薬の種類や治療期間、痛み強度(VAS)、圧痛関節数、ESR、CRP、リウマトイド因子(RF)、抗核抗体(ANA)、抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)の陽性率、X線画像所見などについて、いずれも2群間に有意な差は認められなかった。

 その一方で、この評価で測定した血清学的所見(ESR、CRP、RF、ANA、ACPA)から、クレスト症候群が両群1例ずつ、新規の関節症発現群で関節リウマチが1例、シェーグレン症候群が1例見つかった。

 これらの結果からWendling氏は、「第3世代アロマターゼ阻害薬による治療中に発現または増悪する関節痛に対しては、腱滑膜炎探索のために画像診断を行わなければならないが、その際RAやシェーグレン症候群、クレスト症候群などの自己免疫疾患の除外診断も行うべきだ」と結論した。