慶應義塾大学の仁科直氏

 抗IL-6受容体抗体薬トシリズマブ投与開始前における可溶性IL-6受容体(sIL-6R)の血清中濃度とDAS28-ESRに基づく寛解率は相関しており、sIL-6R濃度が低いとトシリズマブの治療効果が高まる可能性が示された。同薬の効果を予測する因子はこれまでよく分かっていなかったが、慶應義塾大学の仁科直氏らが6月12日から15日までマドリッドで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2013)で発表した。

 同氏らの研究グループは、TNFα阻害薬インフリキシマブの関節リウマチ(RA)に対する臨床効果が、投与開始前における可溶性TNF受容体濃度と相関することを既に報告している。それを踏まえ、IL-6受容体を標的とするトシリズマブについて、sIL-6Rの血清中濃度とDAS28-ESRとの関連を検討した。

 対象は、2010年3月から2012年4月までに同大学病院を受診し、トシリズマブ8mg/kgを4週間隔で投与されたRA患者連続51例。投与開始時と投与24週後にsIL-6R濃度を電気化学発光法(electrochemiluminescence assay:ECL)にて測定。ベースラインにおける年齢の中央値は60歳、女性比率は90%、RA罹病期間の中央値は4.5年、トシリズマブ投与前の生物学的製剤使用率は13%、メトトレキサート併用率は37%、ステロイド薬併用率は31%、抗CCP抗体陽性率は86%、sIL-6Rの中央値は1556pg/mLだった。

 DAS28-ESR(中央値)は、ベースラインでは5.11だったが、トシリズマブ投与24週後には1.95に低下し、67%がDAS28-ESRに基づく寛解を達成した。

 ベースラインにおけるsIL-6R濃度は、同じベースラインの年齢や罹病期間、DAS 28-ESR値との関連が認められなかった。しかし、24週時のDAS 28-ESRとは有意な正相関が認められた(ρ=0.37、P<0.01)。

 ロジスティック回帰分析により、24週時におけるDAS28-ESRに基づく寛解の有意な予測因子として、ベースラインのsIL-6R濃度が抽出された(P<0.01)。ROC解析を行ったところ、予測因子としてのsIL-6R濃度は1556pg/mLをカットオフ値としたときに感度65%、特異度82%となった。

 そこで、sIL-6R濃度が1556pg/mL未満を低値群(26例)、それ以上を高値群(25例)とし、DAS28-ESR、SDAI、CDAIに基づく寛解率を比較した。その結果、24週後において、低値群ではDAS28-ESR寛解率が85%、SDAI寛解率が65%、CDAI寛解率が58%で、高値群の48%、28%、28%に比べてそれぞれ有意に高かった(順にP<0.01、P=0.01、P<0.05)。

 以上から仁科氏は、「RA患者において、トシリズマブ投与開始前のsIL-6R濃度が治療24週後の臨床的有効性の予測因子となりうることが示唆された。また、sIL-6R濃度に合わせて、トシリズマブの投与量や投与間隔の調整が可能になるかもしれない」と語った。