米国Genentech社のAnn E. Herman氏

 生物学的製剤は様々あるが、それぞれがどういった特徴を持つ関節リウマチ(RA)患者に有効なのかは明らかではない。そこで、トシリズマブ(TCZ)とアダリムマブ(ADA)の単剤投与の治療効果を直接比較した無作為化二重盲検試験であるADACTAのデータを用いて解析したところ、リンパ節で発現しているケモカインのCXCL13や接着因子の可溶性ICAM1(sICAM1)などのバイオマーカーで治療反応性を予測できる可能性が示された。米国Genentech社のAnn E. Herman氏らが、6月12日から15日までマドリッドで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2013)で発表した。

 ADACTA試験は、罹病期間が6カ月以上で、メトトレキサート(MTX)に忍容性がない、あるいは効果が不十分なRA患者を対象に実施された。今回、同試験において様々なバイオマーカーが測定されていたことに着目。その中からこれまでの知見で、治療反応性と相関する可能性があると考えられるバイオマーカーとして、MMP3、CXCL13、CXCL10、sICAM1の4つを取り上げた。

 対象は、同試験の参加者のうちバイオマーカーの測定値が確認できた200例(TCZ群94例、ADA群106例)。ベースラインにおける各バイオマーカーの中央値をカットオフとし、中央値より大きい高値群と中央値以下の低値群の2群に分け、治療効果との関連を検討した。

 ACR50達成率を調べると、TCZ群の場合、MMP3高値群が57%、同低値群が38%、CXCL13では順に56%、35%、CXCL10では52%、43%、sICAM1では34%、57%。一方、ADA群の場合、MMP3では30%、28%、CXCL13では23%、32%、CXCL10では29%、29%、sICAM1では34%、21%だった。

 24週時点におけるDAS28-ESRのベースラインからの変化量を見ても、高値群と低値群のいずれが高率であるかについては、ACR50達成率とほぼ同じ傾向であることがTCZ群、ADA群でともに認められた。

 そこで、sICAM1とCXCL13でそれぞれ高値群あるいは低値群の4つに分けてACR50達成のオッズ比を見ると、TCZ群はsICAM1低値かつCXCL13高値の場合に、ADA群はsICAM1高値かつCXCL13低値の場合に、それぞれ高かった。

 ACR20とACR70で検討しても、TCZ群はsICAM1低値かつCXCL13高値で、またADA群はsICAM1高値かつCXCL13低値で達成率が高く、ACR50と同じ傾向が認められた。

 次に、ベースラインと24週時点の投薬前後における各バイオマーカーの変化を検討した。なお、ベースライン時に定量下限値を下回った19例と、投薬後の変化率が500%超の異常値を示した1例は解析対象から除外している。

 その結果、TCZ群においては、MMP3とCXCL13、sICAM1は有意に減少し(いずれもP<0.0005)、CXCL10は減少していたものの有意差は認められなかった。ADA群においては、CXCL13とCXCL10は有意に減少し(順にP<0.0005、P<0.05)、MMP3とsICAM1は減少したものの有意ではなかった。

 これらの結果からHerman氏は、「ベースラインにおけるバイオマーカーの値により、治療に伴う変化とは独立して、ACR50達成率といった治療反応性を推測できるかもしれない。今回の予備的な結果から、バイオマーカーを各治療法の効果予測に活用できる可能性が示唆された」と語った。