産業医科大学の平田信太郎氏

 関節リウマチ(RA)の病態に関与している可能性がある12種類のバイオマーカーを基にした疾患活動性の新たな指標であるMBDAmulti-biomarker disease activity)が、抗TNF薬による治療の有効性評価にも有用である可能性が示された。産業医科大学の平田信太郎氏らが、6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で報告した。

 平田氏らは、自施設で抗TNF薬による治療を受けているRA患者149人を登録して1年間追跡し、2剤以上の抗TNF薬治療が行われた2例を除く147例を解析対象とした。

 ベースラインの患者背景は、年齢が60歳、罹病期間60カ月、DAS28-ESRが5.7mg/dL、MBDAは64(いずれも中央値)だった。対象者からは抗TNF療法開始時と24週目、52週目に血液を採取した。

 MBDAスコアは、12種類のバイオマーカー(VCAM-1、EGF、VEGF-A、IL-6、TNF-RI、YKL-40、MMP-1、MMP-3、レプチン、レジスチン、SAA、CRP)の血中濃度から所定の計算式により算出し、1−100の値をとる。

 まず、抗TNF療法開始時、24週目、52週目のすべてのデータが揃った84例についてDAS28-ESRとMBDAスコアの変化を見たところ、DAS28-ESRは開始時には5.7だったが24週には3.3、52週には2.8に低下した。MBDAスコアも同様に、64、40.5、33.5と低下した。

 MBDAスコアとRAの主な疾患活動性指標の間には有意な相関が認められた(対DAS28-ESR:0.64、対DAS28-CRP:0.65、対SDAI:0.57、対CDAI:0.50。数値はスピアマンの順位相関係数、いずれもP<0.001)。

 既存の疾患活動性指標で低疾患活動性を示す患者と中/高疾患活動性を示す患者をMBDAスコアによって識別できるかを調べるため、ROC曲線下面積を算出したところ、DAS28-ESRでは0.80(95%信頼区間[CI]:0.72-0.87)、DAS28-CRPでは0.81(95%CI:0.73-0.88)、SDAIでは0.76(95%CI:0.65-0.85)、CDAIでは0.76(95%CI:0.64-0.85)と、十分な識別能が得られていた。

 また、抗TNF薬の種類によってMBDAスコアとDAS28-ESRの関連性が異なるかどうかを多変量分析で比較したところ、どの2剤間にも有意な差は認めなかった(すべてP>0.05)。

 平田氏らはさらに、治療開始時から第24週、第52週までの疾患活動性の変化をEULAR改善基準で示し、同じ期間におけるMBDAスコアの変化との関連を調べた。

 その結果、開始時から24週には、EULAR改善基準no response群におけるMBDAスコアの変化は−11(中央値、以下同)、moderate response群では−21、good response群では−27であり、no response群とmoderate群の間には有意差が認められなかったが(P=0.079)、moderate response群とgood response群の間に有意差がみられた(P=0.049)。

 また開始時から第52週には、no response群におけるMBDAスコアの変化が−5.5、moderate response群は−21.5、good resonse群は−29で、no response群 対 moderate response群、moderate群 対 good response群のどちらも有意差が認められた(P=0.015、P=0.007)。

 以上のような結果から平田氏は、MBDAスコアは抗TNF薬治療中のRA患者において、既存の疾患活動性指標と著明な関連性を示し、治療の有効性評価の指標として有用な可能性が示唆されたと結論した。

(日経メディカル別冊編集)