ゴリムマブ(GLM)は、近年になり日・米・欧を含む世界各国で承認された新しい皮下注射(SC)タイプの抗TNF薬であり、長期的なエビデンスが構築されつつある。このほど、進行中の試験を含めた複数の臨床試験のプール解析により、3年継続時も概ね安全性は良好であることが報告された。米University of Massachusetts MemorialのJonathan Kay氏らが、6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で報告した。

 本解析には、海外で行われたGLMのリウマチ性疾患に対する6つの臨床試験データが用いられた。メトトレキサート(MTX)による治療歴のない関節リウマチ(RA)患者を対象としたGO-BEFORE、MTX抵抗性のRA患者を対象としたGO-FORWARD、他の抗TNF薬の使用歴のあるRA患者を対象としたGO-AFTER、DMARDまたはNSAID抵抗性の乾癬性関節炎(PsA)患者を対象としたGO-REVEAL、従来治療に抵抗性の強直性脊椎炎(AS)患者を対象としたGO-RAISEという5つの第III相試験と、MTX抵抗性のRA患者を対象とした第II相試験がその内訳である。

 第II相試験については48週の追跡をもってすでに終了しているが、第III相試験は最長104週のプラセボ対照期間を終了した後も、5年までの予定で長期フォローアップが続けられている。Kay氏らは、これらのフォローアップ研究について160週までの安全性データを集積し、プラセボ、GLM50mg、GLM100mgの各治療群での有害事象の発生率を求めた。

 集積された患者数は、プラセボ群が674人、GLM50mg群が1317人、GLM100mg群が1571人だった。なお、上記5つの第III相試験では効果不十分例に対して途中で治療を強化する「早期エスケープ」が行われているため、一部の患者は2つ以上の群に重複して算入された。

 第III相試験における各群の平均追跡期間は、プラセボ群が28.1週、GLM50mg群が93.4週、GLM100mg群が115.1週であった。その間に1件以上の有害事象が認められた患者は、プラセボ群が73.6%、GLM50mg群が85.6%、GLM100mg群が86.7%だった。また、重篤な有害事象が認められた患者は、それぞれ8.9%、15.4%、21.7%であった。

 追跡期間の差を考慮して、患者100人・年当たりに換算した重篤な感染症の発生率は、プラセボ群が5.31、GLM50mg群が3.03、GLM100mg群が5.09だった。また、死亡率は、プラセボ群が患者100人・年当たり0.28、GLM50mg群が0.30、GLM100mg群が0.41であり、いずれも実薬群においてリスクが有意に上昇することはなかった。

 一方、100人・年当たりの結核発生率は、プラセボ群では0だったのに対し、GLM50mg群では0.17、GLM100mg群では0.35であった。また、結核以外の日和見感染症も、プラセボ群の0に対し、GLM50mg群では0.13、 GLM100mg群では0.24であった。また、100人・年当たりの脱髄疾患の発生率はGLM100mg群で0.14であった。

 100人・年当たりの非メラノーマ性皮膚癌の発生率は、プラセボ群が1.4、GLM50mg群が0.43、GLM100mg群が0.53と、むしろ実薬群の方が低率だった。また、リンパ腫の発生はプラセボ群で0例、GLM50mg群で1例(0.04 /100人・年)、GLM100mg群で6例(0.18/100人・年)に認められた。

 投与部位反応の発現率は3群間に違いを認めず、いずれの群も低率であった。

 以上の結果より、GLMは約3年の長期使用時においても安全性プロファイルは概ね良好と考えられた。Kay氏らは、今回の解析でGLM 100mg投与時に結核、日和見感染症などの発生率が若干上昇していることについて、各臨床試験のプロトコール上、GLM 100mg群に他群から「早期エスケープ」された難治例が含まれるため、群間の患者の重症度に差がある可能性が高いことや、プラセボ群の追跡期間が短いことなどの限界も多いことを指摘した。なお、PsAおよびASに対するGLMの使用は、本邦では承認されていない。

(日経メディカル別冊編集)