亀田総合病院の吉田和樹氏

 生物学的製剤の中止には、効果不十分や副作用による中止がある一方、著明な効果が得られたのちに生物学的製剤を休薬するバイオフリーが存在する。これら2つの対照的な治療転帰のカギとなるのは、ステロイド薬に頼らずに疾患活動性をコントロールできるか否かにあるようだ。亀田総合病院の吉田和樹氏らは、同施設における生物学的製剤中止例の解析から得たバイオフリー達成・維持症例の患者背景に関する知見を、6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で報告した。

 亀田総合病院では、生物学的製剤による治療を受けた関節リウマチ(RA)患者レジストリーであるCABUKICohort of Arthritis, Biologics User's at Kameda Institute)を構築し、RAや生物学的製剤に関するさまざまな情報の分析を行っている。吉田氏らはこのデータベースを利用し、2003年7月から2011年4月の間に生物学的製剤が開始され、後に生物学的製剤の投与中止に至った161例(インフリキシマブ〔IFX〕77例、エタネルセプト〔ETN〕58例、アダリムマブ〔ADA〕3例、トシリズマブ〔TCZ〕23例)に関する解析を行った。

 これら161例における生物学的製剤の中止理由の内訳は、有害事象による中止が53例(IFX22例、ETN21例、ADA2例、TCZ8例)、効果不十分による中止が39例(IFX21例、ETN11例、TCZ7例)、その他の理由による中止(患者の希望や医師の嗜好など)が34例(IFX12例、ETN17例、TCZ5例)であったのに対し、バイオフリーは35例(IFX22例、ETN9例、ADA1例、TCZ3例)であった。

 有害事象による中止群、効果不十分による中止群とバイオフリー群の患者背景因子を比較(Kruskal-Wallis〔KW〕法による多重比較検定)したところ、バイオフリー群で生物学的製剤投与開始時の年齢が最も若く(P=0.022)、またステロイド薬の使用量は最も少なかった(P=0.029)。

 また、有害事象中止群、効果不十分中止群、バイオフリー群の生物学的製剤中止時のステロイド薬使用量(中央値)はそれぞれ5.0mg/日、7.0mg/日、0.0mg/日とバイオフリー群で最も少なく(P<0.001、KW法)、バイオフリー群の半数以上でステロイド薬離脱に至っていたことが判明した。

 生物学的製剤中止後の疾患活動性変化に関しては、バイオフリー群患者の約7割で中止から6カ月を経ても再燃を来すことなくバイオフリーを維持できていた。吉田氏らがバイオフリー後の再燃の予測因子を検索したところ、「6カ月以上にわたるステロイド薬不使用」がバイオフリー維持に関わる予測因子として検出された。この条件を満たした場合、再燃のハザード比は0.06であり(95%信頼区間:0.01-0.60、P=0.017)、バイオフリーを維持できる可能性がステロイド薬使用者より大幅に高いことが示唆された。

 以上の結果から、生物学的製剤の対象となるようなRA患者においては、ステロイド薬に頼らずに疾患活動性をコントロールすることが重要であり、ステロイド薬離脱はバイオフリーの実現や長期にわたるバイオフリー維持の可能性を高める重要な要素であると結論された。

(日経メディカル別冊編集)