産業医科大学の田中良哉氏

 新規抗TNF薬ゴリムマブGLM)の日本における承認用量はメトトレキサートMTX)併用下では50mgまたは100mgと、欧米のそれとは異なる。このような背景のもと、日本発の研究成果として、高CRP値など高い疾患活動性を呈する患者において十分な関節破壊抑制を得るためにはGLM100mg投与が望ましいことが明らかにされた。6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で、産業医科大学の田中良哉氏らが報告した。

 今回の知見は、GLMの国内臨床試験「GO-FORTH」の52週目までの追跡によって得られた。同試験では、MTX単剤で効果不十分な関節リウマチ(RA)患者261人を対象とし、プラセボ+MTX(プラセボ群、88例)、GLM50mg+MTX(GLM50mg群、86例)、GLM100mg+MTX(GLM100mg群、87例)の3群を比較した。24週までが二重盲検期間であり、以降はプラセボ群の患者に対しても実薬(GLM50mg)が投与された(クロスオーバー:CO)。また、14週時点の評価で圧痛関節数および腫脹関節数がベースラインより20%以上改善していない患者については、早期エスケープ(EE)例として16週以降はプラセボ投与を実薬(GLM50mg)投与へ切り替えるか、またはGLM50mg投与から100mg投与へと増量するといったプロトコールに沿って治療が行われた。

 今回発表された52週目のデータによると、ACR20改善達成率は、プラセボ→GLM50mg群(EE・CO例)で67.9%、GLM50mg群(EE例を含む)では86.1%、GLM100mg群では82.1%と、実薬投与への切り替えやGLM増量の効果が発揮され、3群間に有意な差は認められなかった。ACR50および70改善達成率についても同様だった。

 一方、関節破壊抑制効果に関しては、実薬投与への切り替えやGLM増量の影響を加味せずに評価したところ、ベースライン時からの総シャープスコアの変化(ΔTSS)は、プラセボ群で平均5.24ポイントの増加がみられたのに対し、GLM50mg群で2.40ポイント、GLM100mg群で0.88ポイントと、GLM群では関節破壊の進行が著明に抑制されていた(対プラセボ群のP値はそれぞれP=0.0101、P<0.0001)。

 続いて田中氏らは、ベースライン時のCRP値が1.5mg/dL未満の群と1.5mg/dL以上だった群に層別したサブ解析を行った。その結果、CRP<1.5mg/dL群のΔTSSは、プラセボ群で平均4.41、GLM50mg群が0.38、GLM100mg群が0.46であり、GLM投与の2群では関節破壊の進行がほぼ抑制されていた(対プラセボ群のP値はそれぞれP=0.0459、P=0.0234)。

 一方、CRP≧1.5mg/dL群のΔTSSは、プラセボ群が6.23、GLM50mg群が5.50、GLM100mg群が1.85であり、GLM100mg群ではプラセボ群に比べて関節破壊の進行が有意に抑制されていた(P=0.0029)のに対し、GLM50mg群では有意な抑制は見られなかった(P=0.2395)。

 またCRP<1.5mg/dL群では、関節破壊が進行しなかった(ΔTSS≦0)患者の割合は、プラセボ群60.4%、GLM50mg群69.2 %、GLM100mg群68.9%であったのに対し、CRP≧1.5mg/dL群では、プラセボ群で37.5%、GLM50mg群で44.1%、GLM100mg群で65.4%であり、GLM100mg群で有意に高かった(P=0.0268)。

 なお、52週時におけるGLM(50mg+100mg)群の有害事象発現率は89.1%であり、他の生物学的製剤と同程度だった。また、重篤な有害事象の発現率は、GLM50mg群が9.3%、GLM100mg群が6.9%であり、GLM投与量に依存した増加は認められなかった。なお、プラセボ群では二重盲検が終了する24週までの時点の発現率は1.1%であった。

 以上の結果より、GLMはMTXとの併用下において、50mg、100mgのいずれの用量でも臨床症状を著明に改善し、関節破壊の進行を抑制するが、ベースライン時の疾患活動性が高い患者の場合、より高い抑制効果を得るためには100mg投与が望ましいことが示唆された。

(日経メディカル別冊編集)