名古屋大学の舟橋康治氏

 近年、日本では関節リウマチRA)に対するインフリキシマブIFX)の用法・用量が改訂され、3mg/kgでは十分な効果が得られないなど疾患活動性のコントロールに難渋する症例に対し、IFX増量や投与間隔の短縮が行われる機会が増えている。名古屋大学の舟橋康治氏らは、IFX増量または投与間隔の短縮を行った症例における疾患活動性の変化とIFX治療継続率を検討した研究で、増量、短縮はともに有用な方法であることを示した。研究結果は、6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で発表された。

 今回の検討では、名古屋大学を中心としたRA治療における生物学的製剤使用の登録研究TBCRTsurumai Biologics Communication Registry)のうち、設立当時の2008年から2011年までに登録された症例データを用いた。これらの登録患者のうち、603例にIFX投与歴があり、うち115例(19.1%)でIFXの1回投与量を 100mg以上追加した「増量」投与が行われ、また136例(22.6%)でIFXの投与間隔を 7週以下に変更した「投与間隔の短縮」が行われていた。

 増量または投与間隔の短縮による治療強化を行った後のDAS28-CRPは、増量を行った群(増量群)、投与間隔短縮を行った群(短縮群)のいずれにおいても強化前より有意に低下しており(いずれもP<0.01)、治療強化の有用性が確認できた。なお、両群の間に有意な差は認めず、どちらも有用な手段であると考えられた。

 最終評価時までに、増量群では115例中69例、短縮群では136例中88例がIFX治療を継続し得た。Kaplan-Meier法によって求めた累積治療継続率は、増量群、短縮群ともIFX投与患者全体の継続率より有意に高かった(増量群 対 全体:P<0.001、短縮群 対 全体:P=0.011)。増量群と短縮群の継続率に有意な差は認められなかった(P=0.379)が、治療強化が行われた時点以降の継続率については、増量群に対して短縮群が有意に優っていた(P=0.042)。

 しかし、IFX投与開始からIFX治療強化開始までの期間をみると、増量群が552.3±494.0日、短縮群が405±394.9日と、両者の間には有意な差があった(P=0.012)ため、舟橋氏らは、IFX治療強化の開始時期に応じて、さらに患者を早期群(IFX投与開始後1年未満で治療強化を開始)と晩期群(1年目以降に治療強化を開始)に分け、治療強化開始以降の継続率を改めて比較した。

 その結果、早期短縮群と早期増量群の間、晩期短縮群と晩期増量群の間には、いずれも有意な継続率の差を認めなかった(それぞれP=0.140、P=0.105)。

 以上の結果より、IFX投与間隔の短縮と増量は、いずれも疾患活動性の抑制が期待でき、結果として治療継続率の向上にも寄与していることが示唆された。舟橋氏は、「IFXの効果を保つためには、増量と投与間隔短縮という2つの選択肢があることを覚えておいてほしい」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)