ドイツGerman Rheumatism Research CentreのJoachim Listing氏

 高い疾患活動性は関節リウマチRA)患者の生命予後を悪化させる危険因子となるが、疾患活動性を抑えるために多量のステロイド薬を用いれば、むしろ生命予後を悪化させる。これに対し、生物学的製剤の使用は生命予後を改善する可能性がある――。ドイツのRA患者コホート研究、RABBITの追跡データをもとにした解析でこのような成績が示された。RABBIT研究を主導するドイツGerman Rheumatism Research CentreのJoachim Listing氏らが、6月6日から9日にベルリンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2012)で報告した。

 RABBITは2001年に登録を開始した。今回Listing氏らは、同研究に登録されたRA患者8908人の追跡データを解析し、RA治療が患者の生命予後に及ぼす影響について、フォローアップ期間の各因子の値を中心に解析することで評価した。

 ベースライン時の患者の平均年齢は56歳、平均罹病期間は10.3年、DAS28平均値は5.3。全8908例のうち、生物学的製剤が投与されていた患者は5920人(抗TNF薬4649例、抗CD20抗体製剤703例、その他の生物学的製剤568例)、メトトレキサート(MTX)を中心としたDMARDのみの治療例は2988例だった。

 3万1483人・年の追跡において451例が死亡した(14.3例/1000人・年)。死亡リスクは、疾患活動性のコントロールが不良の患者ほど高くなる傾向がみられ、特に追跡期間中の平均DAS28が5.1を超えていた患者群の死亡率は、3.2未満にコントロールできていた患者群の2.4倍と高かった(年齢や併存疾患などの一般的な生命予後悪化因子とステロイド薬の使用量、生物学的製剤またはDMARDの使用について補正後)。

 また、1日当たりのステロイド薬使用量が多いほど死亡率が高くなる傾向もみられた。5-10mg/日(プレドニゾロン換算)のステロイド薬を投与されていた患者の死亡リスクは、ステロイド薬非投与患者に比べ1.5倍、10-15mg/日では2.0倍といずれも有意に高く、15mg/日を超えるステロイド薬投与を受けていた患者群の死亡リスクは3.5倍に達した(一般的な生命予後悪化因子とDAS28、身体機能、生物学的製剤使用またはDMARDの使用について補正後)。

 この2つの事実から、ステロイド薬を用いずに疾患活動性を改善することができれば、患者の生命予後が改善する可能性が示唆された。

 そこでListing氏らは、一般的な生命予後悪化因子とDAS28、ステロイド薬使用量、身体機能について補正した上で、生物学的製剤使用例とMTX使用例(他の合成DMARDsの併用を含む)の死亡率を比較した。その際に、両群の死亡率に差はないとの仮定を置いた。

 その結果、抗TNF薬を6カ月間使用した場合の死亡のハザード比(HR)は0.64、抗CD20抗体製剤を12カ月間使用した場合は0.54、他の生物学的製剤を6カ月間使用した場合は0.61と、MTXの使用例に比べ、いずれも死亡リスクは有意に低かった。

 以上の結果からRA治療では、生物学的製剤による疾患活動性の厳格なコントロールとステロイド薬使用の抑制が生命予後の改善に有用と考えられた。

(日経メディカル別冊編集)