東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの古谷武文氏

 関節リウマチRA)患者の股関節骨折リスクについて、身体機能障害度指標の日本語版であるJ-HAQスコアの中で、起立動作スコアと、トイレや入浴に関する衛生スコアが、独立したリスク因子であることが示された。各スコアが1増加することで、同リスクは約1.5倍に増大するという。これは、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター古谷武文氏らが、同センターのRA患者を対象にしたコホートであるIORRAのデータを分析し明らかにしたもので、6月9日までベルリンで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2012)で発表した。

 これまでの研究結果から、高年齢や低体格指数、人工膝関節形成術歴が同リスクを増大することは明らかになっていたが、J-HAQスコアが同リスクを大幅に増大することを示したのは、今回が初めてという。

 古谷氏らは、IORRAの2000〜2010年のデータから、RA患者9720人について、股関節骨折リスクの予測因子を調べた。被験者の平均年齢は55.7歳(標準偏差:13.5)、うち女性が82%を占め、平均BMIは21.4kg/m2(同:3.0)、リウマチ因子陽性は74%、RA診断を受けてからの期間(平均)は8.2年(同:8.6)、DAS28スコア平均値は4.0(同:1.2)、J-HAQスコア平均は0.8(同:0.7)、人工膝関節形成術を受けていたのは3.3%だった。

 同研究グループは被験者に対し、6カ月ごとに評価を行い、股関節骨折の有無を自己申告と診療記録で確認した。その結果、試験期間中に股関節骨折をしたのは152人だった。

 単変量解析の結果、年齢、BMI、DAS28スコア、J-HAQスコア、プレドニゾン服用量、ビスフォスフォネート服用などが、有意なリスク因子だった。こうした変量を盛り込み、コックス比例ハザードモデルで多変量解析を行った。

 その結果、J-HAQスコアと年齢(ハザード比:毎10歳高齢化で1.61、95%信頼区間[CI]:1.33〜1.96)、人工膝関節形成術歴(同:2.86、95%CI:1.20〜6.80)、BMI(同:0.91、95%CI:0.86〜0.97)が独立リスク因子として残った。J-HAQスコアの中でも、立ち上がり動作と、トイレや入浴といった動作のスコアについては、1スコア増加することによるハザード比は、それぞれ1.65(95%CI:1.29〜2.11)と1.49(95%CI:1.11〜2.00)と、大幅に股関節骨折リスクを増大することが明らかになった。

 古谷氏は、高齢者の骨折が原因で死に至ることが少なくないことを指摘し、今回の試験結果から、「リウマチ患者で、立ち上がり動作が困難な人で、特に痩せている人は、股関節骨折リスクが極めて高いことが分かった。そこで、患者や家族への指導を徹底したり、家の中の段差をなくすなど、充分な注意が大切だ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)