スイスUniv Hospitals of GenevaのC. Gabay氏

 トシリズマブ(TCZ)単独療法はアダリムマブ(ADA)単独療法よりも、関節リウマチ(RA)患者の疾患活動性を低下させることに優れていることが報告された。ADACTA Trialの成果で、スイスUniv Hospitals of GenevaのC. Gabay氏らが6月9日までベルリンで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2012)で発表した。

 生物学的製剤の投与を受けている患者のおよそ3分の1は単独療法である。一方、TCZはインターロイキン-6(IL-6)受容体シグナル伝達阻害剤で、3つの臨床試験において単独療法が試験されたが、直接、抗TNF薬と比較した試験はこれまで行われていなかった。演者らは、DAS28>5.1であるRA患者に、単独療法としてTCZとADAを投与し、抗TNF薬のADAと比較したTCZの有効性と安全性を評価することを目的に試験を行った。

 ADACTA試験は多施設、無作為、二重盲検試験で、24週間の有効性と安全性が評価された。対象は、6カ月以上の罹患期間をもつRA患者でMTX治療に忍容性がない人、またはMTX治療の継続が不適切な患者だった。

 試験では、患者はTCZ8mg/kg静注(+皮下注射プラセボ)を4週間ごとに投与する群(TCZ群)とADAを40mg皮下(+静注プラセボ)を2週間ごとに投与する群(ADA群)とに無作為に1:1で割り付け、24週間続けた。

 主要評価項目は、24週時点でのDAS28のベースラインからの変化(平均)とした。副次的評価項目は、24週時点でDAS28<2.6および≦3.2、ACR20/50/70反応、さらにACR/EULAR寛解基準(Boolean)のそれぞれを達成した患者の割合とした。

 その結果、無作為化された患者は326人だった。割り付け後、TCZ群が163人、ADA群が163人となった。TCZ群では132人(81%)が試験を完了、24人(15%)が脱落した。7人は1週間ごとの皮下注射に切り替えられた。一方、ADA群では125人(77%)が試験を完了し、28人(17%)が脱落した。10人は1週間ごとの皮下注射に切り替えられた。

 ベースラインでの患者背景はTCZ群とADA群とで同等であった。たとえば、平均年齢は54.4歳と53.3歳、平均罹患期間7.3年と6.3年、平均DAS28は6.7と6.8などだった。

 24週時点の有効性をみると、ベースラインからのDAS28の変化(平均)は、TCZ群が−3.3だったのに対し、ADA群は−1.8で、TCZ群が有意に大きかった(差:−1.5、95%信頼区間[CI]:−1.8〜−1.1、P<0.0001)。

 副次的評価項目をみると、24週時点でDAS28<2.6および≦3.2を達成した患者の割合は、TCZ群が51.5%と39.9%だったのに対し、ADA群が19.8%と10.5%で、TCZ群が有意に多かった(P<0.0001)。ACR20/50/70の各反応率は、TCZ群が65.0%、47.2%、32.5%だったのに対し、ADA群は49.4%、27.8%、17.9%となり、いずれにおいてもTCZ群が有意に高率だった(ACR20と70はP<0.005、ACR50はP<0.0005)。さらにACR/EULAR寛解基準(Boolean)を達成した患者は、TCZ群が17.2%だったのに対し、ADA群は9.3%と、TCZ群が有意に多いという結果だった(P=0.0389)。

 一方の安全性については、有害事象の発生率は両群で同等であった(TCZ:82% 対 ADA:83%)。重篤な有害事象および重篤な感染も両群で同等であった(TCZ:12%、3% 対 ADA:10%、3%)。死亡が2例あり、2例ともTCZ群の患者だった。1例は突然死で、試験薬と関連する可能性があったが、遺族の同意が得られず剖検が不能で、詳しい原因は不明だった。もう1例は不法な薬の過剰服用による死亡で、試験薬とは関連がないと考えられた。

 今回の結果から演者らは、「TCZ単独療法はADA単独療法よりもMTXに忍容性がない患者やMTX治療の効果が見られない、またはMTX治療が不適切な患者においてRAの兆候と症状を軽減するのに優れている」と結論した。また、「全体的な安全性プロファイルは、両方の薬剤ともこれまでに報告されたデータと一致していた」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)