英Newcastle大学のJ. M. Van Laar氏

 初期進行性びまん型全身性強皮症に対し、早期に自家造血幹細胞移植HSCT)を行うことで、シクロホスファミド投与を行った場合と比べ、1年後以降の無病生存率は改善することが示された。この傾向は非喫煙者ではより良好で、治療1年以内においても、同生存率がシクロホスファミド投与より悪くなることはなかった。一方で、喫煙者については、長期に渡りHSCT治療によるシクロホスファミド投与に対する優位性は認めらなかった。これは、英Newcastle大学のJ. M. Van Laar氏らが行った、初期進行性びまん型全身性強皮症に対する自家幹細胞移植の第形蠎8海ASTIS TRIALで明らかになったもので、6月9日までベルリンで開催されていた欧州リウマチ学会(EULAR2012)で発表した。

 Van Laar氏らは、2001〜2009年にかけて、10カ国27カ所の医療機関を通じて、16〜65歳の初期進行性びまん型全身性強皮症、156人について試験を開始した。同研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、造血幹細胞移植(HSCT)を(HSCT群、79人)、もう一方の群には経静脈的シクロホスファミドパルス療法(750mg/m2)を月1回12カ月実施した(シクロホスファミド群、77人)。

 被験者について、試験後2年間は3カ月ごとに、その後は年1回評価した。主要評価項目は、2年後の臓器不全のない無病生存率だった。主な副次的評価項目は、世界保健機関(WHO)クライテリアによる毒性や無増悪生存率などだった。

 実際に治療を開始した患者数は、両群ともに75人だった。被験者の平均年齢は44歳、うち女性は59%、発症してからの期間(中央値)は1.4年、平均HAQ(健康評価質問票を用いた機能障害指数)は1.35、シクロホスファミドの投与歴があるのは22%で、両群の患者属性は同等だった。

 2012年3月まで追跡を行った。追跡期間(中央値)はHSCT群が33.0カ月、シクロホスファミド群が27.0カ月だった。追跡期間中に死亡または主な臓器不全を発症したのは、HSCT群が19人、シクロホスファミド群が27人だった。そのうち死亡はそれぞれ、16人と26人だった。中でも、治療が原因で死に至った人はHSCT群でその約10%にあたる8人だった。

 無病生存率について分析を行ったところ、HSCT群のシクロホスファミド群に対するハザード比は、治療3カ月後は2.28(95%信頼区間[CI]:0.81〜6.42、P=0.12)、6カ月後は1.44(95%CI:0.65〜3.23、P=0.37)と、HSCT群のアウトカムが悪い傾向が認められた。だが、それ以降のアウトカムは逆転し、HSCT群がシクロホスファミド群に比べ徐々に良くなり、治療1年後の同ハザード比は0.48(95%CI:0.23〜0.99、P=0.048)、2年後は0.30(95%CI:0.12〜0.76、P=0.011)、さらに4年後、6年後ハザード比はともに0.30(95%CI:0.12〜0.75、P=0.011)だった。総死亡率についても、同様な傾向が認められ、治療約1年後以降はHSCT群のアウトカムが良好だった。

 さらに、被験者のうち喫煙歴のある人や現喫煙者と、非喫煙者に分けて無病生存率を比較したところ、喫煙歴・喫煙者では、治療5年後でもアウトカムの逆転は起こらず、HSCT治療による効果は認められなかった。一方で非喫煙者では、治療後1年以内から、HSCT群の無病生存率が高かった。

 喫煙者のHSCT治療のアウトカムが悪かった点についてVan Laar氏は、「一般的に移植治療で喫煙者のアウトカムが悪いことは知られているが、おそらく、肺機能低下といった、喫煙者に伴う交絡因子が原因なのではないか」と考察した。また、会場からの、「喫煙者には同治療法は行うべきではないということになるか」との質問に対し、「今回の結果のみからは、まだ断言はできない。今後、喫煙歴がある非喫煙者と、現喫煙者、また喫煙の量などにも分けて分析する必要があるだろう」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)