ドイツCharité Universitätsmedizin BerlinのJoachim Sieper氏

 強直性脊椎炎靭帯骨棘形成があり、血中C反応性蛋白(CRP)が高い人の長期アウトカムの予測因子として、5つのバイオマーカーが初めて明らかになった。これは、ドイツCharite Universitatsmedizin BerlinのDenis Poddubnyy氏らが、64人について行ったコホート試験で明らかにしたもの。6月6日にベルリンで開幕した欧州リウマチ学会(EULAR2012)で、同大学のJoachim Sieper氏が発表した。

 Sieper氏は、「靭帯骨棘形成の進行リスクが高い人を特定することで、早期からより積極的な治療をすることができる。一方で、進行リスクが低い人に対しては、過剰治療を防ぐことができる」とし、今回の予測因子特定は極めて重要だとした。

 同研究グループは、ドイツ人の脊椎関節炎患者に関するコホート(German Spondyloarthritis Inception Cohort)の被験者のうち、試験開始時点で靭帯骨棘形成が認められた64人について追跡調査を行った。試験開始時と2年後に、腰椎と頸椎のX線撮影を行い、その結果を、患者の情報を知らされていない2人の別々の読影者によってスコア化した。

 被験者の、試験開始時点の血中CRP、マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP3)、スクレロスチン、ディッコフ1(DKK1)、ペリオスチン、骨形成タンパク質(BMP)2と7、オステオプロテゲリン(OPG)、血管内皮成長因子(VEGF)、プロコラーゲンI型、II型N‐プロペプチド(PINP、PIINP)、II型コラーゲンC末端テロペプチド断片(CTX-II)、骨型アルカリフォスファターゼ(BALP)、可溶性破骨細胞分化因子(sRANKL)などを測定し、2年後の靭帯骨棘形成の進行との関連性を分析した。

 その結果、2年間で新たな靭帯骨棘形成や、以前からある靭帯骨棘形成の増大が認められた人は26人(進行群)、いずれも認められなかった人は38人(非進行群)だった。試験開始時の血中CRP平均値は、進行群が17.1(標準偏差:17.1)に対し非進行群は8.7(同:9.9)、MMP3平均値はそれぞれ40.3(同:36.2)と19.5(同:23.2)、PIINP平均値はそれぞれ175.4(同:81.6)と133.5(同:82.5)と、いずれも進行群で高かった(それぞれ、P=0.031、P=0.016、P=0.033)。

 中でも、試験開始時にCRP値が高かった人についてのみ見てみると、進行群では非進行群に比べ、MMP3(進行群平均:50.9、非進行群平均24.1、P=0.023)、PIINP(同:216.8、同:126.4、P=0.002)、BMP-2(同:7.8、同:5.5、P=0.016)、VEGF(同:602.0、同:350.7、P=0.013)がいずれも高く、OPG(同:7.8、同:11.6、P=0.049)が低かった。

 同研究グループはまた、今回進行予測因子が明らかになったことで、特定のマーカーを標的にした新たな治療法の開発にもつながる可能性がある、としている。

 会場からの、「より多くのバイオマーカーが認められる人は、進行リスクがより高いということか」という問いに対し、Sieper氏は、「この試験では、被験者数が少な過ぎてその点は明らかではない」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)