名古屋共立病院整形外科の金山康秀氏

 関節リウマチ(RA)には、環軸関節亜脱臼(AAS)や軸椎垂直亜脱臼(VS)などの上位頸椎病変がしばしば合併し、さらなるQOL低下の要因となる。名古屋共立病院整形外科の金山康秀氏(写真)らは、こうしたRA性頸椎病変がインフリキシマブ(IFX)の投与によって改善されることをすでに報告している。今回同氏らは、IFXを投与した中で、頸椎病変が進行した患者と進行しなかった患者の背景因子を比較した結果、総シャープスコア(TSS)の変化と頸椎病変の進行との間の有意な相関を見い出した。ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2011)で報告した。

 今回の検討対象は、米国リウマチ学会(ACR)による1987年のRA分類基準を満たし、IFXによる治療が1年以上継続された活動性のRA患者103人(うち女性83人)。平均年齢は54.0歳、平均罹病期間は10.5年であった。登録時のDAS28-ESRは5.67、TSSは63.9であり、登録時の頸椎X線像から評価した頸椎病変のパラメータは、環椎歯突起間距離(ADI)が3.7mm、脊髄可動領域(SAC)が18.1mm、Ranawat値が14.3mmであった(いずれも平均値)。

 これらの患者に対し、IFXによる54週間の治療後に再び頸椎X線写真を撮影し、ADI またはRanawat値に登録時から1mm以上の増加がみられた場合、もしくはSACに1mm以上の減少がみられた場合を「頸椎病変の進行あり」と定義すると、33人(32%)の患者に頸椎病変の進行が認められた。

 金山氏らは、頸椎病変進行の危険因子を探るために、頸椎病変の進行を認めた33人(進行群)と、病変の進行が認められなかった70人(非進行群)の背景因子を比較し、単変量解析ならびに多変量ロジスティック回帰分析を行った。

 単変量解析では、登録時における抗CCP抗体(ACPA)値が>50U/mL、手関節の関節裂隙狭小化(JSN)スコア、IFX治療開始54週目におけるgood response達成、54週目までのCRP値の変化量、DAS28の変化量、およびTSSの変化量の6つが頸椎病変進行と有意な関連性を示した。

 これらを独立変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行うと、TSS変化量以外の5つの因子の有意差は消失し、登録時から54週目までのTSS変化量のみが、独立した有意な危険因子として同定された(HR:2.00、95%信頼区間:1.28-3.12、p=0.002)。

 これら結果より、手関節のTSS変化はRAの関節破壊進行の指標となると同時に、頸椎病変の進行リスクの指標でもあることが示された。手関節病変の進行がみられた場合は、頸椎病変が進行している可能性も念頭に置いて治療を強化するなど、より厳密に疾患活動性をコントロールする必要がある。

(日経メディカル別冊編集)