英国リーズ大学のJackie L. Nam氏

 関節リウマチRA)の初期治療において、メトトレキサート(MTX)の併用薬はインフリキシマブ(IFX)と高用量ステロイドのどちらが有用なのか――。その答えを得るために計画されたIDEA試験の結果の一部が、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2011)で発表された。今回示されたのは副次的評価項目の解析結果。両者の治療成績に有意な差は認められず、最終的な結果は主要評価項目である関節破壊抑制効果の解析次第となった。英国リーズ大学のJackie L. Nam氏(写真)が報告した。

 RAの初期治療には、最初から強力な薬剤を用いて確実に疾患活動性を抑えたうえで、治療目標が達成されていれば徐々にマイルドな治療へと移行していく「ステップダウン戦略」が有用となることが、BeSt試験やPREMIER試験など多くの臨床試験から示唆されている。

 その際にアンカードラッグであるMTXと併用する薬剤としては、生物学的製剤の他にも高用量ステロイドという選択肢がある。しかし、どちらがより有用な選択肢なのかを示した報告はない。今回のIDEA試験は、その両者を直接比較した初めての多施設二重盲検無作為化比較試験(DBT)だ。

 対象は、中等度以上の疾患活動性(DAS44>2.4)が3〜12カ月間持続している抗リウマチ薬(DMARDs)未治療の早期RA患者112人。患者は無作為化のうえ、全例がMTXの併用下でIFX群(n=55)または高用量ステロイド群(n=57)のいずれかに割り付けられた。IFX群ではMTX 10〜20mg/週に加えてIFX 3mg/kgが0、2、6、14、22週に投与され、ステロイド群ではMTXに加えて0週にメチルプレドニゾロン250mgが静脈内投与され、2、6、14、22週にはIFX群との盲検性を保つためにプラセボが投与された。また両群とも、6、14、22週に中等度以上の疾患活動性(DAS44>2.4)の場合、メチルプレドニゾロンの筋肉内注射が追加された。

 26週目以降は非盲検の試験期間とし、26週時点で低疾患活動性(DAS44≦2.4)の患者にはこれまでどおりの治療を継続し、IFX群でDAS44>2.4の患者にはIFXを増量、ステロイド群でDAS44>2.4の患者にはDMARDsが追加された。それ以後は、DAS44≦2.4を目標として、IFXやDMARDsの用量を調節しながら、78週まで追跡が続けられた。なお26週目以降においても両群で、38、50、62週に中等度以上の疾患活動性(DAS44>2.4)の場合、メチルプレドニゾロンの筋肉内注射が追加された。

 主要評価項目は、登録時から50週までのシャープスコアの変化とした。また、副次的評価項目には、(1)6、14、26、50、78週の各時点における寛解(DAS44≦1.6)達成率、(2)6、14、26、50、78週の各時点における低疾患活動性(DAS44≦2.4)達成率、(3)追跡期間中、6カ月以上にわたる寛解の維持の有無、(4)HAQスコア、の4つが設定された。

 78週の追跡を完遂した患者は、IFX群では43人(78%)、ステロイド群では42人(75%)だった。両群の寛解達成率は、6週目でIFX群22%、ステロイド群9%、14週目が35%と32%、26週目が33%と45%、50週目が52%と36%、78週目が48%と52%といった推移を示しており、いずれの時点においても両群間に有意な差は認められなかった。

 低疾患活動性の達成率についても、いずれの時点においても両群間に有意な差は認められなかった。また、6カ月以上の臨床的寛解が維持できた患者の割合もIFX群38.9%とステロイド群32.1%で同等、HAQスコアの変化も26週時点で−0.66と−0.57、78週時点で−0.79と−0.74であり、両群間で差はなかった。

 以上のように、副次的評価項目に関する両群の治療成績はいずれも同等で、早期RA患者に対するMTXベースの初期治療レジメンとしての評価は、主要評価項目である関節破壊抑制効果の解析結果に委ねられることとなった。昨今見直しが行われたRAの寛解基準において、関節破壊の抑制効果は当然あるべきアウトカムに設定されていることからも、2つの治療選択肢による関節破壊抑制効果がどのような結果になっているのかは非常に注目されるところである。

(日経メディカル別冊編集)