ノルウェーのSt. Olavs病院(トロンハイム)のMari Hoff氏

 乾癬性関節炎(関節症性乾癬:PsA)は関節リウマチ(RA)同様、TNF阻害薬インフリキシマブ:IFX)が良好に応答する疾患だが、その関節病変像はRAとは大きく異なり、関節破壊が生じる機序は十分に明らかになっていない。ノルウェーのSt. Olavs病院(トロンハイム)のMari Hoff氏(写真)らは、PsAに対するIFX療法の有効性を検討した無作為化試験IMPACT 2の対象患者におけるX線学的なサブ解析を行った結果、IFXは骨量減少を抑制するばかりか、骨量の増加をもたらす可能性もあることを見い出した。ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2011)で報告した。

 IMPACT 2試験は、活動性PsAに対するIFXの有効性と安全性を検討したプラセボ対照無作為化二重盲検試験。同試験には、罹病期間6カ月以上かつ従来治療でコントロール不良な活動性PsA患者200人が参加した。IFX(n=100)またはプラセボ(n=100)を投与し24週間の追跡を行った結果、PsAの皮膚症状と関節破壊の進行抑制におけるIFXの有用性が明らかになっている。

 今回のサブ解析では、IMPACT 2のIFX群とプラセボ群のそれぞれから、登録時から24週目までのシャープスコア変化量が大きかった上位30人ずつが抽出され、その後54週目までの手の骨密度(BMD)の変化が比較された。なお、BMDはDXR法(digital X-ray radiogrammetry)にて評価された。

 抽出された60人のうち、54週目までのDXR-BMDの追跡が可能だった患者は、IFX群22人、プラセボ群15人の計37人だった。平均年齢は46.8歳、女性の比率は42%、罹病期間は8.1年で、53%がメトトレキサート(MTX)を併用、13%が経口ステロイド薬を併用していた。また、平均CRP値は3.47mg/dLだった。

 対象患者37人のDXR-BMDの変化量(中央値)は、登録時から24週時点で−0.38%、54週時点で−0.04%と徐々に減少していた。しかし、IFX群とプラセボ群に分けた場合、登録時から24週時点でのBMDは両群ともわずかに減少していたが(IFX群:−0.24% 対 プラセボ群:−0.50%、p=0.50)、IFX群では54週時点の変化量が+0.41%と増加に転じ、プラセボ群(−0.51%)との差が広がる傾向が認められた(p=0.06)。

 シャープスコアの変化とDXR-BMD変化の間には、24週目、54週目のいずれにおいても有意な相関は認められなかった(24週目:r=0.02、p=0.90、54週目:r=−0.14、p=0.87)。

 これらの結果より、PsAに対するIFX治療は骨量減少を抑制するだけでなく、骨量の増加をもたらすことが示唆された。一方、RAに対するIFX治療は、骨量減少を抑制するが、増加させることはないとされている。Hoff氏は、「RAによる関節破壊が破骨細胞の活性化を介したものなのに対し、PsAによる関節破壊の機序には破骨細胞の活性化とともに骨芽細胞の異常も関与しており、その双方がIFXによって是正されることが骨密度の増加につながっているのではないか」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)