横浜市立大学の井畑淳氏

 全身性硬化症SSc)患者の難治性潰瘍に対する自己骨髄幹細胞移植で、長期にわたる安全性と効果が確認された。横浜市立大学井畑淳氏(写真)らが、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会EULAR2011)で発表した。

 横浜市立大学大学院リウマチ・血液・感染症内科では、膠原病・リウマチ性疾患おける四肢虚血病変に対し、自己骨髄幹細胞移植術を実施している。これまでに、全身性硬化症患者の血行障害を対象に移植を実施し症状を改善したことを2005年米国リウマチ学会で報告するなど、実績を積み上げてきた。最近、閉塞性動脈硬化症(ASO)において、自己骨髄単核球移植の安全性について懸念を示す論文が発表されたことから、今回、膠原病・リウマチ性疾患の領域において長期にわたる安全性と効果を検証した。

 同科で実施している局所への骨髄単核球移植術は、全身麻酔下で患者腸骨から約400mLの骨髄液を採取し、あらかじめ貯血しておいた自己血400mLと血液成分分離装置を用いて骨髄単核球を回収し、それを四肢の虚血骨格筋内の筋肉に投与するというもの。

 今回の対象は、四肢の難治性潰瘍に対して自己骨髄幹細胞移植を行ったSSc患者8人。手術後、72週間以上にわたる長期観察を行った。

 観察期間中は、難治性潰瘍の改善の状態のほか、新しい潰瘍の発生および重大な副作用についても把握した。診察の間隔は4〜24週で、最長318週におよぶ追跡調査を行った。全追跡期間は1342週に上った。

 観察の結果、すべての患者において、いったんは難治性潰瘍は治癒していた。しかし、4例で再発があり、再発までの期間は60週(中央値、24〜120週)だった。再発した4例については、2例は従来の治療で回復に至り、2例は2回目の移植により症状が回復した。残りの4例は、観察期間中、再発が見られなかった。重大な副作用は、8例すべてにおいて見られなかった。

 演者らは、SSc患者における難治性潰瘍の治療として行う自己骨髄幹細胞移植は、長期の観察研究の結果、安全で効果的であると結論した。

(日経メディカル別冊編集)