TNF阻害薬による治療で、乾癬性関節炎患者の症状は著しく改善したものの、動脈硬化は進行していたことが分かった。2年間の追跡調査で明らかになったもので、イタリアPADOVA大学のA.Lo.Nigro氏らが、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会EULAR2011)で発表した。

 多くのリウマチ疾患が動脈硬化の促進に関与しており、循環器系疾患の発症リスクを高めるとする報告が多く見られている。しかし、TNF阻害薬の投与が動脈硬化の進展にどのような影響をもたらすのかについての報告はまだ少ない。この問題意識のもと、演者らはTNF阻害薬と動脈硬化の進行の関係を明らかにするため、乾癬性関節炎患者を2年間追跡調査した。

 乾癬性関節炎患者32人を対象に、TNF阻害薬投与前、および投与24カ月後にIMT(頸動脈の内中膜複合体厚)やFMD(血流依存性血管拡張反応)を測定し、潜在的な動脈硬化の進行具合を調べた。

 24カ月後、IMTやFMDなどの指標をみると、動脈硬化の改善は見られず進行していることが分かった。治療開始前と24カ月後を比較すると、IMTの平均値は0.75±0.20から 0.96±0.40に、最大IMT(M-MAX)は0.91±0.25から1.09±0.44に、それぞれ有意に増加していた(いずれもp<0.01)。一方、FMD値の変動は見られなかった。

 TNF阻害薬による治療効果については、24カ月後に疼痛関節数、膨脹関節数、DAS28のいずれもが有意に改善していた(p<0.01)。24カ月後で、空腹時血糖値、総コレステロール、HDLおよびLDLコレステロール、中性脂肪などの値は変動がなかった。

 Lo.Nigro氏は、「2年間のTNF阻害薬による治療で、乾癬性関節炎患者の症状は著しく改善したものの、動脈硬化は進行していた。乾癬性関節炎の患者は動脈硬化の進行に注意が必要だ」とまとめた。その上で、「動脈硬化の進行には、TNFとは別の炎症メカニズムが関与している可能性が考えられ、遺伝的素因の関与についても検討が必要であろう」と語った。

(日経メディカル別冊編集)