スウェーデンのカロリンスカ大学病院のJohan Bratt氏

 関節リウマチRA)治療における早期からのタイトコントロールの重要性を疑う余地はない。だが、どのような患者に、どのタイミングで、どんな薬剤を使い、どのように管理すればよいのだろうか。こうした問いへの回答として、SWEFOT試験は、具体的なノウハウにつながる多くのヒントをもたらした大規模試験の1つだ。スウェーデンのカロリンスカ大学病院のJohan Bratt氏(写真)は、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2011)において、これまでに得られた同試験の結果と、そこから示唆されるタイトコントロールのあり方についてレビューした。

 ASPIRE、PREMIERE、COMET、BeStなどの臨床試験は、RA発症早期からメトトレキサート(MTX)とTNF阻害薬の併用による積極的治療を行い、疾患活動性を厳格にコントロールすることで、より多くの患者が寛解に至ることを示した。

 しかし、これらの試験の多くはMTX単剤とMTX+TNF阻害薬の併用を比較したもので、MTX+従来型DMARDsの併用とMTX+TNF阻害薬の併用を比較した報告は多くない。また、MTX単剤でも約3割の患者は低疾患活動性に至ることが知られており、すべての患者にTNF阻害薬の追加併用が必要とも言い難い。

 こうしたことを背景に計画されたSWEFOT試験は多施設無作為化試験で、早期RA患者487人を対象に、観察期間としてMTXを単独投与し、3カ月後にDAS28評価で低疾患活動性(≦3.2)を達成できなかったMTX効果不十分例258人をMTX+従来型DMARDsの併用(130人)、MTX+TNF阻害薬(128人)に割り付け、2年間にわたり追跡した。

 1年目のEULAR改善率は、TNF阻害薬併用群の方が有意に高かったが、その差は2年目には消失していた。DMARDs併用群の4割以上の患者が2年目までに治療のステップアップ(シクロスポリンの追加)を受けていたことは、両群間の差の消失に少なからず影響していると考えられた。一方、TNF阻害薬併用群ではDMARDs併用群に比べ、1年目より関節破壊の進行が有意に抑制され、その差は2年目にも縮まることはなかった。

 以上の結果から、MTX単剤で疾患活動性をコントロールできなかった患者には、DMARDsよりTNF阻害薬の併用が優っていることが示唆された。

 ただし、関節破壊の進行度には個々の患者によって幅があり、DMARDs併用群でもほとんど進行を認めなかった患者もみられた。そこでBratt氏らは関節破壊のリスク因子の探索を行ったところ、登録時のCRP高値、骨びらんの存在、喫煙の3つの因子が同定された。

 この3つのパラメータを組み合わせた12のグリッド(喫煙あり/なし×CRP<10mg/L/10〜35mg/L/≧35mg/L×骨びらんあり/なし)に患者を分類すると、たとえば「喫煙あり、CRP≧35mg/L、骨びらんあり」の群で2年後に急激な関節破壊の進行がみられた患者の割合は63%、「喫煙なし、CRP≧35mg/L、骨びらんあり」の群で29%、「喫煙なし、CRP 10〜35mg/L、骨びらんあり」の群で21%、「喫煙なし、CRP<10mg/L、骨びらんなし」の群では7%と、きれいな段階状の分布を示した。Bratt氏は、「治療方針を決定する際には、このマトリックスモデルが有用な指標となるかもしれない」と述べた。

 これとは別に、観察期間の3カ月間でMTX単剤により低疾患活動性を達成した147人の患者についても、その後の追跡が行われた。これらの患者の大部分はMTX単剤でその後も低疾患活動性(DAS28≦3.2)を維持しており、2年後には7割以上の患者が臨床的寛解(DAS28≦2.6)を達成していた。

 しかし、これらMTX単剤治療の継続により良好な疾患活動性が維持されていた患者のうち、関節破壊が全く認められない患者の比率は、ベースラインの約5割から、2年後には約2割にまで低下しており、総シャープスコアが10ポイント以上進行していた患者も15%にのぼることが示された。DASで評価されるMTX単剤治療の疾患活動性抑制効果は、必ずしも関節破壊の進行抑制を担保するものではないことが示された。

 Bratt氏は、早期RA患者の初期治療としてMTXの単剤投与を否定することはなかったが、「たとえMTX単剤治療で疾患活動性のコントロールが良好でも、関節破壊進行への注意とモニタリングが必要だ」と述べた。臨床的寛解にとどまらず、構造的寛解、機能的寛解の実現を目指すのであれば、「どのような患者にTNF阻害薬を併用すべきか?」ではなく、「どのような患者ならば、MTX単剤治療でよいのか?」と問うべきかもしれない。このような知見は、先般発表された新しいRA寛解基準の概念とも通じるものがある。

(日経メディカル別冊編集)