ルーマニア国立大学のRuxandra Schiotis氏

 ルーマニア国立大学のRuxandra Schiotis氏(写真)らは、大規模患者レジストリーであるREGISPONSER-ASに登録された190人の強直性脊椎炎AS)患者の3年間にわたる追跡データを解析した結果、TNF阻害薬による治療で、ASにおける脊椎強直の進行を抑制することができ、患者の身体機能を維持できる可能性を見い出した。この成果は、ロンドンで開催されている欧州リウマチ学会EULAR2011)にて報告された。

 ASに対する薬物療法は疼痛軽減を目的とした対症療法が中心であり、脊椎の強直を抑制する根本的な治療法は確立していないが、Wandersら(2005)はNSAIDsによって、Baraliakosら(2007)はTNF阻害薬によって、脊椎強直の進行抑制が認められたと報告している。そこでSchiotis氏らは、これらの薬剤の強直進行抑制効果を検証するために今回の検討を行った。

 REGISPONSER-AS(Registro Español de Espondiloartritis de la Sociedad Española de Reumatologia-AS)は、スペインリウマチ協会によって2004年に開始されたAS患者の大規模レジストリーである。Schiotis氏らは、このデータベースに登録されたAS患者のうち、NSAIDsによる治療を受けた131人(NSAIDs群)と、TNF阻害薬による治療を受けた59人(Biological Therapies:BT群)のデータを抽出し、登録時と治療開始3年後の各種パラメータ(BASDAI、ASDAS、BASFI、BASRI、CRP)の変化を比較した。

 その結果、痛みやこわばりなど疾患活動性を評価するBASDAIスコアとASDASスコアは、NSAIDs群、BT群のいずれにおいても、有意差はないものの治療開始後には低下する傾向がみられた。X線所見を評価するBASRIスコアは、NSAIDs群では脊椎スコアに悪化傾向(7.19から7.51へ、p=0.06)、総スコアで有意な悪化(8.02から8.52へ、p=0.01)が認められた。BT群では脊椎スコア(8.6から8.68へ)、総スコア(9.95から9.76)ともに有意な変化は認められなかった。患者の身体機能を評価するBASFIスコアは、NSAIDs群では有意な悪化(3.93から4.72へ、p=0.000)を呈していたのに対し、BT群では有意な変化は認められなかった(4.68から4.73へ)。

 これらの結果から、ASによる脊椎強直に対し、NSAIDsには進行抑制効果が認められなかったが、TNF阻害薬は少なくとも3年間にわたり脊椎強直の進行を抑制し、患者の身体機能を維持する可能性が示唆された。

(日経メディカル別冊編集)