オランダLeiden大学のMarianne van den Broek氏

 抗CCP抗体ACPA)が陽性の関節リウマチRA)患者は、陰性の患者に比べてドラッグフリー寛解の達成は難しく、関節破壊が進行するリスクが高い。しかし、早期からインフリキシマブなどの薬剤を導入すれば、ACPA陽性患者でも陰性患者と同程度の関節破壊進行抑制効果が得られることが明らかとなった。早期の積極的介入によりドラッグフリー寛解が可能となることを示したBeSt試験のサブ解析で明らかになったもので、オランダLeiden大学のMarianne van den Broek氏(写真)らが、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR2011)で報告した。

 2004年に開始されたBeSt試験では、DAS≦2.4を目標として段階的に薬剤を変更する治療戦略のもと、発症早期のRA患者508人の追跡が続けられてきた。今回M. van den Broek氏らは、同試験の登録患者をACPA陽性群と陰性群に分け、7年後の関節破壊の程度と臨床的寛解ならびにドラッグフリー寛解の達成率を比較するサブ解析を行った。

 対象患者は、BeSt試験の登録例508人のうち、登録時のACPA検査結果が得られている484人(陽性群300人、陰性群184人)。登録時の背景は、シャープスコア(TSS)の中央値がACPA陰性群の1.5に比べ、ACPA陽性群では4.0と高かった。また、DASとHAQスコアは、いずれも陽性群の方が有意に低かった(DAS:4.3 対 4.6、p<0.001。HAQスコア:1.3 対 1.5、p=0.02)。陽性群では男性が多く、喫煙率が高かった(ともにp=0.01)。

 DASとHAQスコアは、いずれの群でも治療に応答して低下し、低下の程度や7年間の推移にも違いはなかった。また、ACPA陰性群の患者と比較して、陽性群の患者が時期にかかわらず臨床的寛解を達成できない相対リスク(RR)は1.0(95%信頼区間:0.9-1.1)、ならびに1年以内に寛解を達成できない相対リスクは0.9(95%信頼区間:0.7-1.1)であり、ACPA陽性群と陰性群で差は認められなかった。

 ACPA陽性群の患者がドラッグフリー寛解を達成できるチャンスは、ACPA陰性群の患者の半分(RR 0.5、95%信頼区間:0.3-0.7)、一度ドラッグフリー寛解に至ったとしても何らかの抗リウマチ薬を再開する相対リスクは、陰性群の患者の2倍以上(RR 2.3、95%信頼区間:1.7-2.6)だった。

 さらに、ACPA陽性群では、7年後において5ポイントを超えるTSSの進行が生じる相対リスクは陰性群の3.8倍(95%信頼区間:2.5-5.1)、35ポイントを超える進行が生じる相対リスクに関しては12.7倍(95%信頼区間:1.8-56.7)と高かった。しかし、メトトレキサートと大量ステロイドの併用やインフリキシマブから治療を開始する群に割り付けられた患者に限ると、ACPA陽性群におけるTSSが進行するリスクは、陰性群と変わらなかった。

 これらの結果から、ACPA陽性のRA患者は、DASを厳格に管理した場合でも、ACPA陰性の患者に比べてドラッグフリー寛解を達成できるチャンスが少ないことが明らかになった。また、ACPA陽性のRA患者は陰性の患者に比べて、将来的に関節破壊の進行するリスクが高いが、ACPA陽性であっても、早期から生物学的製剤などによる積極的な治療を行えば、関節破壊の進行を回避できる可能性が高くなることが示唆された。

 M. van den Broek氏らは、「ACPA陽性患者では、疾患活動性の変化だけでなく関節破壊の進行状況にあわせて随時、薬剤を見直していく治療戦略が重要なのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)