米パデュー大学のX. Yang氏

 結合組織疾患の患者における肺高血圧の12カ月有病率は0.75%で、一般よりも明らかに高いことが示された。保険請求データベースによる分析によって分かったもので、米パデュー大学のX. Yang氏(写真)らがロンドンで開催された欧州リウマチ学会EULAR2011)で発表した。

 肺高血圧(PAH)は、進行性で致命的な疾患である。全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、および未分化結合組織疾患などの結合組織疾患(CTD)の患者が発症することが報告されている。しかしながら、報告されているCTD患者におけるPAHの有病率の推計は、主に専門的なセンターのいくつかのグループからのデータに基づくもので、ある特異的な疾患についてのことが多い。この問題意識のもとに演者らは、医療保険請求管理データベースの後ろ向き分析を行い、CTD患者全般におけるPAHの有病率明らかにすることを試みた。

 2003年1月1日から2009年12月31日までのThomson Reuters MarketScanの保険請求書および受診データベースとMarketScan Medicareのデータベースを用い後ろ向き分析を行った。

 分析に用いる対象患者は、医療保険に2007年7月1日から2009年6月30日まで連続して加入していたことを条件とした。その上で、2003年1月1日から2009年12月31日までのデータベースから、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、および未分化結合組織疾患に相当する国際疾病分類第9版改訂版の臨床修正コード(ICD-9-CM)からCTD患者を同定した。CTD患者の中でPAHを持つ患者は、2008年7月1日から2009年6月30日までのICD-9-CM診断コードのPAHが、少なくとも入院患者で1つ、外来患者では2つあることで同定した。CTD患者におけるPAHの有病率は、PAH患者数をサンプルの総数で除して算出した。

 分析の結果、CTD患者が9万33人同定された。そのうちPAHを認めた患者は673人おり、12カ月有病率は0.75%となった(95%信頼区間:0.69%-0.81%)。CTDの種類別でみると、全身性硬化症が4.22%と最も高く、、皮膚筋炎が1.03%、全身性エリテマトーデスが0.59%などとなった。

 PAH患者のうち87.52%は女性で、PAHと診断された時の平均年齢(標準偏差)は59(13.06)歳であった。主な併存疾患は、関節リウマチ(59.0%)、慢性肺疾患(38.2%)、鬱血性心不全(24.4%)、および糖尿病(20.4%)であった。

 これらの結果から演者らは、「先に報告された2つの研究では一般集団におけるPAHの12カ月有病率は0.0045%と0.00155%だった。これに対して、本研究の推計ではCTD患者におけるPAHの12カ月有病率は0.75%と明らかに一般集団で報告された成績より高いことが分かった」と結論した。その上で、「CTD患者においては、PAHの重要性が軽んじられているのではないか」との懸念を示した。

(日経メディカル別冊編集)