松原メイフラワー病院(兵庫県加東市)の舟橋惠子氏

 薬物治療に対して関節リウマチRA)患者が期待するものは、「症状の確かな改善」と「長期間持続する効果」、さらに「最低限の有害事象」であることが示された。患者を対象にした調査で明らかになったもので、松原メイフラワー病院(兵庫県加東市)の舟橋惠子氏(写真)らが、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会EULAR2011)で発表した。

 RA治療は、過去10年間で劇的に改善された。生物学的製剤の出現により治療目標も大幅に向上した。そのため、一度、生物学的製剤を使用した患者は、最初の薬剤の効能が低下した後に異なる薬剤に変更した場合、最初の薬剤と同等の効能を期待する傾向を強めていた。そこで演者らは、RA患者が治療に何を求めているか、また、生物学的製剤による治療を受ける患者と疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)による治療を受ける患者との間では期待するものが異なるのか、などという点を明らかにする目的で調査を実施した。

 対象は、同病院に来院中の患者165人。調査の目的を説明し理解を得た上で、質問表に匿名で回答してもらった。質問票では、年齢、性別、医療歴のほか、(1)薬物治療に対する期待、(2)薬物治療でがっかりしたこと、(3)薬剤の切り替えに思うこと、(4)投薬前に知りたいこと、(5)投薬前の期待と投薬後の明らかな違い、(6)現行の治療の満足度、(7)可能な治療に対する期待――などについて意見を求めた。なお、これまでにDMARDsの治療を受けたことがない患者は、調査から除外した。

 調査の結果、回答者の84%は女性で、34%は罹病期間が10〜20年であった。メトトレキサート(MTX)が最もよく使用されており76%であった。対象のうち55人の患者は生物学的製剤の治療を受けたことがあり、110人は受けたことがなかった。以下、全体と生物学的製剤治療群(55人)、DMARDs治療群(110人)について調査結果を分析した。

 各質問項目をみると、「薬物治療に対する期待」の項目では全体の70%が「症状の改善が確かであること」と答え、73%は「関節の破壊や変形が軽減されること」と答えた。また長く持続する効能を期待する患者(67%)の方が、即効性を期待する患者(41%)よりも多いことが分かった。これは長期のQOL(生活の質)改善が重要であることを示唆していた。

 一方、回答者全体の32%が「薬物治療でがっかりしたこと」として有害事象を挙げた。「薬剤を切り替えることで心配なこと」としては、「十分に効果が現れない恐れ」または「有害事象の恐れ」を挙げた。

 「投薬を始める前に知りたいこと」では、「直面する恐れのある有害事象の種類と頻度」を挙げる患者が最も多かった。この点について演者らは、薬剤の作用機序よりも有害事象について患者は知りたがっていることを示していると指摘した。

 生物学的製剤を使用したことのある患者についてみると、「薬物治療を始める前に期待すること」に対しては、(1)関節の腫れや痛みを軽減するばかりではなく腫れや痛みを全て除くこと、(2)通常の生活ができるだけではなく運動や仕事ができること、(3)損傷した関節が回復すること、などの回答が目立った。生物学的製剤を使用したことのある患者では、そうでない患者に比べて、薬物治療に対し非常に強い期待を持つ傾向がうかがえた。

 これらの結果をもとに演者らは、「RA患者では薬物治療に対して、確かな症状の改善と長期間持続する薬剤の効能という点で強い期待を持っていることが明らかになった」とする一方、「最大の心配事は有害事象があるかどうか、またあるとすればどのよな種類かということであった」とまとめた。また、今回の調査結果により、患者は治療薬を切り替える際の不安を極力解消したいと願っていることも示されたことから、「医師は症状の確かな改善と長期間持続する薬剤効果、最低限の有害事象(長期にわたって薬剤に依存できる)という患者の希望に留意する必要がある」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)