ノルウエーのオスロ大学のK.E.Heiberg氏

 人工膝関節全置換術TKA)後の患者に対する理学療法は、近年広く実施されているにも関わらず、術後1年たっても歩行に問題を抱える患者が少なくないことが指摘されている。そこで、通常の理学療法に代わり、積極的な歩行技能強化のためのグループトレーニングをTKA実施後の患者に試みたところ、歩行距離や身体活動における自己評価が向上したことが示された。5月25日からロンドンで開催されている欧州リウマチ学会EULAR2011)で、ノルウエーのオスロ大学のK.E.Heiberg氏(写真)らが発表した。

 TKAを実施した患者57人(平均年齢69歳)を対象に、歩行技能強化群とコントロール群に無作為に割り受けした。コントロール群(29人)は通常の理学療法を行い、歩行技能強化群(28人)は、片足スクワットや障害物歩行、歩幅を変えての歩行など、体重負荷を利用した様々な歩行トレーニングをグループで1回70分間、計12回行った。

 術後6週間をベースラインとし、6〜14週間のトレーニング介入期間後に6分間歩行距離、膝関節可動域、日常生活活動の質問票による評価(KOOSスコア)などの改善変化を見た。

 その結果、主要評価項目である6分間歩行距離の補正平均値は、歩行技能強化群(461m)の方がコントロール群(419m)よりも有意に長かった(p=0.03)。また、スポーツやレクリエーションに関するKOOSスコア、活動性に関する自己評価についても歩行技能強化群の方が高かった(いずれもp=0.01)。痛みに関するKOOSスコア(p=0.3)や膝関節可動域(p=0.84)は、2群間で有意差はなかった。

 K.E.Heiberg氏は、「今回実施したグループによる歩行技能強化トレーニングは、TKA後の患者のリハビリとして通常の理学療法よりも高い効果が期待できるだけでなく、安全で患者のコンプライアンスも高かったのでクリニックなどでの実施が薦められる」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)