関節リウマチ患者では、心血管リスク因子が適切に評価されていない可能性が示された。リウマチ専門医が標準的な方法でリスク評価をしたところ、対象患者110人の30%に改善可能なリスク因子があることが判明した。フランスRHEVERネットワークのL. Gossec氏らが、5月25日からロンドンで開催中の欧州リウマチ学会EULAR2011)で発表した。

 EULARは、関節リウマチ(RA)患者における心血管(CV)リスク因子について、1年ごとに評価を実施することを推奨している。RA患者については標準化されたCVリスク因子の評価法があるが、L. Gossec氏らは、その有用性を検証する目的で、外来診療中にリウマチ専門医によるCVリスク因子の評価を実施した。

 方法は、フランスのリウマチ専門医ネットワークであるRHEVERに協力を求め、ネットワーク内で治療している患者を横断的に集めて前向きに検討した。患者の選択は、各リウマチ専門医が確定RA患者5人を無作為に選ぶこととした。その上で、対象患者のCVリスク因子を評価するため、血圧、体格指数、喫煙の有無、血糖値、脂質値、Framingham CVイベントスコアなどのデータを収集した。

 標準化されたCVリスク因子の評価法の有用性については、「実現可能性」と「実用性」の面から検討した。実現可能性は、データの欠損、患者の評価に費やされた時間で判断した。また、実用性は、把握できていなかった高血圧あるいは治療の変更が必要となった高血圧、把握できていなかった高血糖、リウマチ専門医から心臓専門医への紹介が必要となるFramingham CVイベントスコア(20%以上)、把握できていなかった高コレステロール血症あるいは治療の変更が必要となった高コレステロール血症など、改善可能なリスク因子が少なくとも1つ見つかった場合に、「CVリスク評価は有用」と判断した。なお、肥満と喫煙は、今回の研究においては既に把握されているリスク因子とみなした。

 2010年3月から7月の間に、22人のリウマチ専門医(ほとんどが開業医)が110人のRA患者(リウマチ専門医1人当たり5人)を評価した。患者の平均年齢は57±10歳、罹病期間が長期(11±9年)で、多くがメトトレキサート(83人、75%)、低用量ステロイド(60人、55%)、あるいは生物学的製剤(50人、45%)の治療を受けていた。平均DAS28は2.8±1.1だった。

 リスク因子評価の実現可能性の面では、まずデータ欠損は、高血糖の患者(27%)で最も多く、血糖値の血液検査が実施されていなかった。高コレステロール血症患者(14%)では、脂質症フランスリスク因子スコアの算出がなかったためのデータが欠損し、そのため脂質プロファイル血液検査の解釈がなされていなかった。CVリスク評価時間の平均は、患者1人当たり15±5分であった。

 実用性の面では、33人(30%)の患者で有用だった。具体的には、高コレステロール血症(全体の13%)、高血圧(同8%)、Framinghamスコア(20%以上)で紹介が必要な患者(同6%)、これまで把握されていなかった高血糖(同4%)を、それぞれ評価できたことで裏付けられた。

 今回の検討により演者らは、「CVリスク因子の評価は、リウマチ診療所の外来診療中に実現可能であった。この評価は有用であり、本試験では30%の患者に役立った」とまとめた。その上で、「この結果は、フランスではRA患者のCVリスクが十分に評価されておらず、診断治療がされていない可能性を示している」と指摘し、「リウマチ専門医はCVリスク評価を熟知することが必要で、外来診療中に、改善できるリスク因子を評価すべきだ」と求めた。

(日経メディカル別冊編集)