米国NYU Hospital for Joint DiseasesのY. Yazici氏

 手首や指の痛みを訴える子供が来院した場合、ゲーム機や携帯機器などの使い過ぎを疑ってみる必要がありそうだ。XboxPS3Wiiといったゲーム機やPSPiTouchiPhoneなどの携帯機器は多くの子供たちが携帯電話とともに使用しており、また、これらの機器を用いて文字打ちをすることも多い。こうした機器の使い過ぎと手首や指の痛みとの関係を調べた研究で、ゲーム機を長期に使用すればするほど痛みが増すなどの関係が明らかになった。米国NYU Hospital for Joint DiseasesY. Yazici氏(写真)らが明らかにしたもので、5月25日、ロンドンで開催されている欧州リウマチ学会(EULAR2011)で発表した。

 Yazici氏らは、携帯機器の種類、子供の年齢、使用時間などと手首や指の痛みとの間に関係があるかどうかを見い出すため調査を行った。対象は、米ミズーリ州セントルイスの2つの学校に通う9歳から15歳までの生徒。使用しているゲーム機、携帯機器および携帯電話と使用時間について質問表で尋ねる一方、手首や指の痛みについては10cmの水平視覚的アナログスケール(VAS)を用いて測定してもらった。

 調査には、手首や指に痛みがある257人の生徒が回答した。学校1の生徒(81人)は学校2の生徒(176人)よりも有意に若かった(11歳対13歳、p<0.001)。

 まず機器の種類別に使用状況をみると、学校1の生徒の方がゲームボーイ、Wiiの使用が多かった。ゲームボーイは、学校1が44%に対して学校2が20%(p<0.001)、Wiiは80%に対して66%(p<0.001)だった。一方、学校2の生徒の方が携帯電話の使用が92%で、学校1の40%より多かった(p=0.019)。また、携帯電話使用を報告した生徒のうち、学校2でより多くの生徒が携帯メールを使用していると答え、1日当たりのメール送信量も多かった。

 こうした機器の使用と痛みについて学校間の違いをみたところ、iPhone使用による指の痛みのみに有意な差があった。学校1の生徒の方がより多く指の痛みを報告した(p=0.028)。

 全体でゲーム機器と痛みとの関連を調べたところ、痛みのレベルは、XBOXとゲームボーイ/ゲームボーイアドバンスの使用に関係したものが最大であった。

 報告された痛みがゲーム機使用と関係があるかどうかを検討するため、ゲーム機ごとに年齢、性別、学校、ゲーム機使用時間について補正し、多変量一般化線形モデルを用いて検討した。分析の結果、XBOXとゲームボーイ/ゲームボーイアドバンスの使用による痛みの報告が、iPhoneによるものより統計的に多かった(それぞれp=0.036とp=0.042)。また、使用時間も独立して報告された痛みと関係があり、1時間遊ぶ時間が増えるごとに、痛みのオッズが2(95%信頼区間:1.50-2.89、p<0.001)上昇することも分かった。

 さらに年齢、性別、学校を考慮すると、メール送信回数、メール送信量、略語使用、キーボードの種類といった携帯電話の使用に関係する因子と痛みにも関係があった。これについては男子よりも女子の方が、痛みを報告した人数が2倍も多かった(女子0.37、男子0.15)。性別のみが携帯電話使用に次ぐ、痛みと関連する独立変数だった。この性別による差は異常値を除いたあとでも有意であった。

 これらの結果をもとに演者らは、「子供たちの間では、ゲームを長期に使用すればするほど痛みが増していた。また、女子生徒の方が男子生徒よりも携帯電話の使用による影響が大きかった」などと結論。その上で、今回の知見は、ゲーム機や携帯ゲーム機、携帯電話の使用開始年齢の制限、あるは使用時間の制限などを検討する一助になるかもしれないと指摘した。

(日経メディカル別冊編集)