オランダ・Radboud大学医療センターリウマチ科のJaap Fransen氏

 2009年の米国リウマチ学会(ACR 2009)で発表された関節リウマチ(RA)の新たな分類基準を発症早期の未確定関節炎に適用した場合、その後のRA発症をどこまで精度良く予測できるか――すなわち早期RA診断にどこまで有用かは、現在、多くのリウマチ専門医の関心事だが、オランダの研究グループから、「2年後のRA発症を旧基準より高い精度で予測可能」とする研究結果が示され、注目を集めた。6月16日から19日にローマで開催された第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、オランダ・Radboud大学医療センターリウマチ科のJaap Fransen氏らが発表した。

 研究グループは、早期の未確定関節炎患者に新基準を適用したとき、2年後にRAとみなし得る「遷延性の関節炎(persistent arthritis)、または骨びらん」に至るかどうかの予測精度を調べた。対象はオランダ・ライデン大学医療センターの患者コホートに登録された早期関節炎患者。プライマリケア医の紹介があり、1関節以上の関節炎がある発症2年未満の患者で、1993-96年に登録された566人を対象とした。

 新基準では、骨びらんがなく、他の疾患で説明がつかない場合、関節病変、血清学的因子、滑膜炎持続期間、炎症マーカーの4群12項目について重みづけをした得点表(0-10点)で、合計6点以上をRA確定としている。この定義に沿って、少なくとも1関節の腫脹あり(566人中561人)、他の疾患でより適切な説明がつかない(561人中396人)、X線でRA性骨びらんがない(396人中322人)、2年のフォローアップを実施(322人中286人)の各条件を満たした286人について解析した。

 フォローアップ2年目には129人(45%)が遷延性の関節炎を呈していた。そのうち62人(48%)に骨びらんがみられた。

 回帰分析の結果、関節病変、血清学的因子、滑膜炎持続期間、炎症マーカーの得点は、遷延する関節炎を発症した群とそうでない群で有意な差がみられた。また、骨びらんを呈した群と呈さなかった群の間では、関節病変と血清学的因子に有意な差を認めた。

 多変量解析の結果では、遷延性の関節炎を有する群とそうでない群の間で、関節病変、血清学的因子、滑膜炎持続期間の得点について有意差が得られ、骨びらんがみられた群とそうでない群の間では、関節病変と血清学的因子の得点について有意な差が得られた。また、合計点は、遷延性の関節炎(オッズ比 1.6、信頼区間:1.4-1.8)、骨びらん(オッズ比 1.8、信頼区間:1.4-2.1)ともに、有意な関連があった。

 次に、ROC曲線の曲線下面積(AUC)により、新分類基準による予測(診断)精度を求めたところ、2年後の遷延性の関節炎については0.79、同じく骨びらんについては0.81と十分な値が得られた。同じ対象について、旧基準である1987ACR分類基準を当てはめた場合は、遷延性の関節炎についての予測精度が0.76、骨びらんについては0.73となり、新基準の予測精度が高いことが確かめられた。

 これらの結果を基に、合計点が6点以上の場合の2年後の遷延性の関節炎・骨びらんの発症確率を求めると、遷延性の関節炎については0.74、骨びらんについては0.68になったことからFransen氏は、「新基準で合計6点以上をRA確定診断(definite RA)の区切りとするのは妥当」とした。また、3点以下の場合の発症確率が、遷延性の関節炎については0.2前後、骨びらんについては0.1弱となったことから、「3点以上をRA疑い(probable RA)の基準としてよいのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)