英国では近年、早期の関節リウマチ(RA)患者に対し、3剤以上の抗リウマチ薬(DMARDs)を併用するなど、積極的治療をするケースが増えていることが示された。これは寛解に至るRA患者が増加した時期と一致するという。Norfolk & Norwich大学病院リウマチ科のElena Nikipholou氏らが6月16日から19日までローマで開催された第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で報告した。

 Nikipholou氏らの報告は、発症早期リウマチ患者を対象としたコホート研究ERAN(Early Rheumatoid Arthritis Network)の一環。ERANは2002年に開始され、現在までに英国内の21医療機関で患者1122人を追跡している。対象は、英国内の新規に診断が確定した発症3年未満のRA患者で、参加前にDMARDs投与を受けていない人とされた。

 本研究では、組み入れの年次ごとにコホートとみなして1年間追跡する「発端コホート」と呼ぶ観察研究を行った。平均発症年齢は56.6歳、68%が女性で、ベースライン時に61%がリウマトイド因子陽性、29%に骨びらんがみられた。

 対象者のうちDMARDs投与を受けた1042人について分析したところ、初期投与されるDMARDsの傾向は調査期間中に顕著な変化がみられた。2002年には全体の47%を占め、MTXとともに主流だったスルファサラジン(SZP)の単剤投与は年々減少し、2009年には13%になった。MTXの単剤投与は2002年に38%だったがその後増加し、2006年には51%を占めたが、2008年からは減少し2009年には38%になった。

 3剤併用は、2002年にはわずか1%だったが2006年から急増し、2009年には35%を占め、MTXの単剤投与とともに、初期に用いられるDMARDs処方の主流になった。他のDMARDsの単剤投与と2剤併用はともに10%弱で、大きな変化はみられなかった。

 発症からかかりつけ医を最初に受診するまでの期間は、調査を開始した2002年には6カ月だったが、年次ごとにばらつきはあるものの、わずかに短縮傾向を示し、2009年には4.5カ月となった。発症から最初の抗リウマチ投与までの期間も同様にわずかに短くなっており、2002年に8カ月、2009年には6カ月だった。

 近年のこうした動向についてNikipholou氏は、「早期から積極的な治療を行う傾向は年々、強まっている。特に3剤併用はここ3、4年で急増した。これは寛解に達するRA患者の増加傾向と時期的に一致する」と指摘、「早期からの積極的治療が適切というエビデンスやガイドラインがようやく現場に浸透してきたためではないか」と推察した。一方で、過去のコホート研究も併せてみても、発症から最初の医療機関受診までの期間は1986年以降、ほぼ6カ月程度で変化していないことにも言及、社会への啓発の必要性を示唆した。

(日経メディカル別冊編集)