ノルウェー・Diakonhjemmet病院のCathrine Austad氏

 近年、医療機関の患者調査に基づく研究では、生物学的製剤などの登場によって関節リウマチ(RA)患者のQOLが改善したことが数多く報告されているが、人口コホート研究によっても、この15年間にRA患者の全般的健康度や障害の程度が改善していることが示された。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のTore K. Kvien氏の研究グループからの報告で、6月16日から19日にローマで開催された欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、同グループのCathrine Austad氏(写真)が発表した。

 研究グループは、地域疾患レジストリーのRA患者868人を対象として、2009年に郵送の質問票による調査を実施した。対象者の平均年齢は59.9(20-79)歳、77.1%が女性、罹病期間は平均13.0年。質問票の回収率は60.6%だった。

 質問票では、疾患による痛み、疲労感、総合的な健康度をVAS(visual analogue scale)で尋ねたほか、いずれも健康関連の標準的な質問法であるMHAQ、SF-36、SF-6Dに対応した設問を用意。同様の調査を行った1994年、1996年、2001年、2004年のデータと比較した。

 その結果、この1994年から2009年までの15年間に、RA患者の健康度は、わずかずつではあるが、着実に改善し続けていることが分かった。1994年には1.68(95%信頼区間、以下同:1.64-1.71)だったMHAQ(1-4:小さいほど良好)は、2009年には1.44(1.40-1.47)に下がり、SF-36の身体指標(PCS:高いほど良好)は、1994年に31.4(30.7-32.2)だったのが2009年には36.4(35.6-37.2)に上がった。

 また、VASによる指標(いずれも低値が良好)では、痛みが1994年の46.0(44.4-47.5)から2009年には34.2(32.6-35.8)、疲労感は1994年の50.0(48.2-51.8)から2009年の44.7(42.8-46.6)、総合健康度は1994年の48.5(47.0-50.0)から2009年には37.1(35.4-38.8)へと改善した。

 これらの結果についてAstod氏は、「臨床試験の結果だけでなく、人口コホート調査によっても、近年のRA患者は以前に比べて障害度が減少し、総合的な健康度も向上している。本研究で得られた結果は実社会のRA患者の状況を示したものであり、RA患者に対する医療資源の適切な配分を考慮するのに貢献し得るのではないか」としていた。

(日経メディカル別冊編集)