カナダ・トロント大学のEdward Keystone氏

 近年、臨床試験で得られたエビデンスをもとに、関節リウマチ(RA)に対する抗リウマチ薬(DMARDs)治療で十分な疾患活動性の低下がみられなければ、3〜6カ月をめどに治療薬の変更を検討すべきとされる。これに対して、「実臨床では3カ月で切り替えを判断するのは不適切」とする興味深い報告が注目を集めた。6月16日から19日までローマで開催された欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、カナダ・トロント大学のEdward Keystone氏らが発表した。

 主に疾患活動性を指標として、いち早く臨床的寛解を目指すRA治療戦略は、「treat to target」と呼ばれる。2010年に欧州リウマチ学会が正式発表したRA治療リコメンデーションにもこの考え方が明記されている。Keystone氏らは、この治療戦略で示された最短3カ月という薬剤切り替え期間が妥当かどうか、実臨床データをもとに検証した。

 Keystone氏らは、トロント初期関節炎コホート(TEACH)に登録されている初期RA患者を対象とした研究を実施した。組み入れ条件は、16歳超で、発症6週から1年。2関節以上、または中手指節関節(MCP)/近位指節関節(PIP)1カ所以上に腫脹があり、かつ、リウマトイド因子陽性、CCP抗体陽性、朝のこわばり>45分間以上などの所見がある人とし、6カ月以上、安定的に抗リウマチ薬(DMARDs)治療を受けている51人を対象とした。疾患活動性はDAS28値で評価し、2.6未満を寛解、3.2未満を低疾患活動性とした。治療への反応は、DAS値で1.2超の変化を良好、同0.6未満の変化を有効な反応なしとみなした。

 結果は、治療開始後3カ月で27人(53%)が低疾患活動性に達し、そのうち17人(全体の33%)が寛解となった。さらに6カ月では38人(75%)が低疾患活動性、うち27人(全体の55%)が寛解に達した。

 一方、3カ月で低疾患活動性に到達しなかった24人のうち、6カ月で15人(63%)が低疾患活動性に達していた。逆に6カ月目で低疾患活動性に達した38人中、3カ月で低疾患活動性に到達していたのは17人(44%)にすぎなかった。同様に、3カ月で寛解に到達しなかった34人のうち、6カ月で15人(44%)が寛解に到達。逆に6カ月で寛解に達した28人のうち、3カ月で寛解していたのは、13人(46%)だった。

 さらに、3カ月時点で治療反応が良好でなかった患者のうち12人は、3カ月目以降に治療に反応し、6カ月目で低疾患活動性または寛解に達していた。

 これらの結果からKeystone氏は、「実臨床の場では、3カ月で治療に良好な反応をみせなかった患者の中には、同じ治療を継続した場合、6カ月目までに良好な反応を示した人が少なからず存在した」とし、3カ月での治療切り替えは短すぎることを示唆した。なお、Keystone氏は、treat to targetに関するリコメンデーションを策定した国際合同委員会のメンバーでもあり、「本研究の結果は、ガイドラインで規定している3〜6カ月という切り替えでの治療継続期間を支持するもの」と結論していた。

(日経メディカル別冊編集)