オランダ・ライデン大学のNaomi B. Klarenbeek氏

 関節リウマチ(RA)治療において、初期治療の段階から、強力な薬剤を用いて疾患活動性を抑えるトップダウン戦略の有用性を示したBeSt試験の6年目の追跡データが、オランダ・ライデン大学の研究グループから報告された。比較的弱い治療から開始された群においても、効果不十分な患者がインフリキシマブ(IFX)治療へ移行した現在、各群ともに疾患活動性が安定し、薬物治療を要しない“drug-free”寛解者も認められるまでになった。

 一方で、最初の2年でトップダウン戦略をとった群と他の群の間についた関節破壊レベルの差は今も埋まらず、適切な初期治療が行われなかった患者のQOLは低いままであることが示された。研究結果は6月16日から19日にローマで開催された欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、同大学のNaomi B. Klarenbeek氏が発表した。

 BeSt試験は、早期RA患者を対象に、(1)メトトレキサート(MTX)単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、効果不十分なら他のDMARDs、さらにはIFXへ変更(第1群)、(2)MTX単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、効果不十分なら他のDMARDsを追加、次にIFXへ変更(第2群)、(3)MTXと高用量ステロイド、スルファサラジンの併用で治療を開始し、必要に応じてMTXの増量、効果不十分ならIFXに変更(第3群)、(4)IFX+MTXで治療を開始(第4群)の4群間の比較試験である。

 各群それぞれ増量や他剤への変更・追加のプロトコルが決められており、3カ月毎のDAS44判定時にDAS44≦2.4を達成できない場合は次ステップの治療へと進み、1〜3群にも最終的にはIFXが処方される。一方、DAS44≦2.4の状態が最低6カ月維持できれば、薬剤を順次減量または休薬し、さらに寛解(DAS44<1.6)の状態が6カ月以上維持できればすべての薬剤を中止して“drug-free”にするという「DASに基づく治療(DAS steered treatment)」が実施された。

 その結果、最初から積極的な治療を行った第3・4群では、第1・2群よりも速やかな疾患活動性の軽減、関節破壊の進行の抑制が認められたことは既報の通りである。

 しかし、治療のステップアップが進み、各群の治療内容の差が小さくなるとともに、臨床症状を中心とする各群の治療効果の差も縮小した。今回の解析でも、各群の寛解率は49%、50%、51%、55%といずれも良好であり、群間に有意差は認められなかった(p=0.89)。また、全体で17%の患者に認められた“drug-free”寛解者の割合も、各群がほぼ同じだった(それぞれ15%、16%、14%、19%;p=0.76)。

 一方、関節破壊の指標であるシャープスコアの増加速度は、3年目以降こそ各群ともほぼ同等だったが、最初の2年間で著明な関節破壊進行が認められた第1群や第2群と第3・4群との差はその後も埋まることはなかった。また、患者身体機能の指標であるHAQの6年間の推移においては、第1・2群と第4群間で有意な差が認められた(p=0.02)。

 以上のように、「DASに基づく治療」は初期治療の如何を問わず、6年間で疾患活動性を安定に導き、15%程度の患者に“drug-free”寛解をもたらした。一方で、初期治療としてIFXを用いた積極的な治療を行った場合に比べ、MTXを含むDMARDsで治療開始した場合は、最初の2年間の関節破壊を十分に防ぎ得ず、長期的には患者QOLを低下させる原因となる可能性が示唆された。

(日経メディカル別冊編集)