フランス・トゥール大学のDenis J. Mulleman氏

 メトトレキサート(MTX)は、関節リウマチ(RA)治療の中心的薬剤(アンカードラッグ)として位置づけられており、インフリキシマブ(IFX)をRA治療に用いる際にもMTXが併用される。しかし、IFXを強直性脊椎炎(AS)治療に用いる際のMTX併用の必要性については相反する報告が混在する。そこで、フランス・トゥール大学のDenis J. Mulleman氏らは、AS治療におけるIFXの薬物動態をMTX併用時・非併用時で比較する無作為化比較試験(RCT)を実施。結果として、AS患者の血中IFX濃度がMTXにより増強されることはなく、薬物動態の面からはMTXを併用する必要性は認められなかったことを示した。研究結果は、6月16日から19日にローマで開催された第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で発表された。

 対象は、改訂New York診断基準に基づいて診断されたAS患者26例である。患者は無作為化のうえ、MTX併用群(n=14)と非併用群(n=12)に割り付けられ、両群とも通常のスケジュール(0、2、6、12、18週投与)にてIFX 5mg/kgが投与された。また、MTX併用群については、IFXに加えてMTX 10mgが毎週経口投与された。

 主要評価項目はIFXの血中薬物動態であり、毎回のIFX投与前および投与直後、投与2時間後の血液サンプルが採取され、VC(中央コンパートメントの分布容積)、VP(末梢コンパートメントの分布容積)、CL(クリアランス)の各パラメータが測定された。

 その結果、両群のVC(MTX併用群2.4L vs 非併用群2.3L)およびVP(1.9L vs 1.8L)に有意な差はなく、CLは両群ともに0.23L/日であった。すなわち、AS治療において、MTXはIFXの薬物動態に影響を及ぼさないことが示唆された。

  Mulleman氏はこの比較試験の結果から、ASにおいて、少なくともIFXの薬物動態の面からは、「MTXの併用を考える必要はない」と明言した。

(日経メディカル別冊編集)