関節リウマチ患者では、一般に睡眠障害や疲労を感じる患者が多いことが知られている。このほど、生物学的製剤が、こうした睡眠障害を改善する可能性が示唆された。ドイツ・Charite-Universitatsmedizin BerlinのRene Dziurla氏が、6月16日から19日にローマで開催された第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で報告した。

 対象は関節リウマチ患者32人(平均49.1歳)。患者は病歴と疾患活動性によって、14人を生物学的製剤のエタネルセプト(ETN)使用群、18人をMTX使用群に分けた。治療前と治療開始8週後、16週後に睡眠ポリグラフ検査を行い、睡眠の質を調べた。また、健康関連QOL尺度であるMFI-20とSF-36を用いて、患者の主観による評価も行った。

 治療前と16週後の全睡眠時間の平均を比較すると、ETN群が355.0分から422.6分に増加していたのに対し、MTX群では388.6分から377.7分に減少した。睡眠効率についても、ETN群が77.8%から88.9%に上昇していたのに対し、MTX群では逆に84.8%から80.6%に低下した。

 MFI-20で調べた「疲労感」については、ETN群では治療前の13.4点から8週後には10.3点、16週後には10.2点に、一方のMTX群では治療前の12.7点から8週後には11.7点、16週後には11.2点に、いずれも低下したが、ETN群の低下幅がより大きかった。

 SF-36に関しても、16週後の社会生活機能で、ETN群の80.7%に対してMTX群61.5%、心の健康ではETN群73.8%に対してMTX群54.5%、活力ではTEN群57.3%に対し、MTX群41.9%と、ETN群の方が良好だった。

 Dziurla氏は、「主観的な評価によっても、客観的な評価によっても、ETN使用群で良好な結果が得られた。生物学的製剤は、MTXに比べて全身性の炎症をより強く抑制し、睡眠時間とその質を改善した可能性が示唆された」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)