スウェーデン・Skane大学病院のIngemar F. Petersson氏

 関節リウマチ(RA)による疼痛や身体機能の低下は、患者にとって大きな苦痛になるだけでなく、社会にとっても労働損失という打撃になる。TNF阻害薬は、RAの症状や炎症の抑制、関節破壊の抑制、身体機能の改善に対して優れたエビデンスがあり、治療によって身体機能低下を抑制できれば、労働損失も抑えられると考えられる。スウェーデン・Skane大学病院のIngemar F. Petersson氏らは、ローマで開催されている第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、TNF阻害薬を用いた治療による労働損失の回復効果について報告、治療開始から半年で病気欠勤者が約25%減少していたことを示した。

 本検討は、スウェーデン南部の11のリウマチ診療施設で構成されるグループ(SSATG:South Swedish Arthritis Treatment Group)による、生物学的製剤治療患者の登録データベース(レジストリー)のデータを解析したもの。同レジストリーに登録された生物学的製剤で治療中のRA患者は、Skane地方の当該患者の90〜95%をカバーするという。

 Petersson氏らは、2004〜2007年に登録された18〜58歳のRA患者365例を抽出し、TNF阻害薬治療前後の病欠者率(1カ月に1日以上の病欠があった患者の割合)や1カ月あたりの病欠日数などの変化を調べ、これらの患者と背景因子を一致させた一般人口と比較した。

 全365例(女性299例、男性66例)の平均年齢は46.1歳、罹病期間中央値は55.4カ月、ベースライン時の平均DAS28スコアは5.2、平均HAQスコアは1.05だった。病欠者率はTNF阻害薬を開始する前の1年間で増加し、開始する直前には38.6%に至ったが、治療開始から半年で28.5%へと有意に減少し(26.2%減少、p<0.001)、1年後まで維持されていた。また、病欠日数も同様に減少していた(p<0.001)。

 以上のことから、TNF阻害薬による治療は、ほぼ半年でRA患者の労働損失を治療前の4分の3程度に抑制することが示された。Petersson氏はこの成績について、「患者と社会を勇気づける結果である」と評価した。

(日経メディカル別冊編集)