東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの北浜真理子氏

 メトトレキサート(MTX)で十分な効果が得られない関節リウマチ患者に対し、タクロリムスの上乗せが有効である可能性が示された。6月16日から19日までローマで開催されている第11回欧州リウマチ学会(EULAR 2010)で、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの北浜真理子氏が発表した。

 対象は、2005年から2009年までに同センターを受診した関節リウマチ患者で、同施設が実施している大規模前向き観察コホート研究「IORRA」の参加者とした。IORRAでは、医師の臨床評価と疾患活動性(DAS28)など各スコアによる評価のほか、半年ごとの聞き取り調査を行っている。

 本研究では、期間中1カ月以上にわたってMTXにタクロリムスを上乗せした157人を抽出。年齢や性別、他の治療法などの背景因子が一致し、MTXを使用しているがタクロリムスを上乗せしていない471人を対照群とした。

 1年間のDAS28の変化をみたところ、タクロリムス上乗せ群では4.58から3.71に低下していたが、MTXのみ群では3.91から3.61と低下はわずかだった。また、タクロリムス上乗せ群では126人が治療を継続できており、この126人でみると、DAS28は4.54から3.62へと低下していた。研究開始当初のDAS28値に両群で差があったため、ベースライン時のDAS28と年齢・性別による調整などを行ったところ、いずれもタクロリムス上乗せ群とMTXのみ群の間に有意差が得られた(p<0.05)。

 さらに、タクロリムス上乗せ群について、観察期間中の使用薬剤量の変化を調べたところ、タクロリムスは平均1.0mg/日から1.5mg/日、MTXは8.0mg/週のまま、プレドニゾロンは4.0mg/日から3.0mg/日となり、タクロリムスを上乗せすることでMTXやプレドニゾロンの使用量増加を抑えられた可能性が示唆された。

 北浜氏は、「タクロリムス投与では感染症のリスク増加が懸念されがちだが、血中濃度モニタリングを行うことで、用量依存性の有害事象はある程度回避できる。MTXで十分な効果が得られず、使用量も増やせないといった場合などに、タクロリムスの上乗せを選択肢の1つとして考慮してもよいのではないか」と話していた。

(日経メディカル別冊編集)