フィンランド・ユヴァスキュラ中央病院のThulikki Sokka氏

 発症時に就労していた関節リウマチRA)患者は、疾患のためしだいに就労率が下がり、先進国、開発途上国を問わず、数年以内に3人に1人が就労を断念していた。GDPが低い国では、就業しているRA患者の疾患活動性健康障害度がより高く、不十分な医療環境の中、病をおして働いている実態も示唆された。大規模国際疫学研究「QUEST-RA」の研究成果の一つで、同研究を主導しているフィンランド・ユヴァスキュラ中央病院のThulikki Sokka氏が、6月10日から13日にコペンハーゲンで開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)で報告した。

 QUEST-RA(QUEstionnaires in Standard monitoring of patients with RA)は、2005年に開始された観察研究データベースで、1国当たり3施設、1施設100人のRA患者について、医師と患者に詳細な調査を実施している。北米、西欧に加え、東欧、中近東、北部アフリカなどにおける「臨床試験の外側の日常臨床におけるRAの実態」を報告している。

 2009年1月までに30カ国の83施設から7568人が登録されたQUEST-RAデータベースで、65歳以下の患者は、発症時、68%(男性では85%、女性では64%)が就業していた。そのうち35%、3人に1人がRAのために就業が続けられなくなったと報告した。

 2000年以降に発症し、発症時に就業していた1650人について、罹患年数に対する就業率をカプランマイヤー法によって推定したところ、発症2年目の就業率は80%(95%信頼限界:78-82%)だったが、5年目には68%(同65-71%)に低下していた。

 就業率は低GDP国(1人当たり年額1万1000ドル未満)と高GDP国(同2万4000ドル超)で同等だったが、その実態は異なるという。

 65歳未満で、調査時点で就業中だった患者における疾患活動性と生活障害度を調べたところ、疾患活動性を示すDAS28は、高GDP国では男性3.1、女性3.5だったのに対し、低GDP国では、男性4.7、女性4.8と高く、自己報告による生活障害度を示すHAQスコアでは、高GDP国の男性0.25、女性0.50に対し、低GDP国では、男性0.82、女性0.94と高かった。

 これらの結果についてSokka氏らは、RA患者は2000年以降も依然として、罹患によって就業の機会を失う状況にあること、仕事を続けている低GDP国のRA患者は、活動性と生活障害度がより高い状態で、無理をして働いている状況であることを示した。