スウェーデンLund大学病院リウマチ科のCarmen Roseman氏

 関節リウマチRA)や脊椎性関節炎SpA)患者に対するインフルエンザワクチンの接種率は、旧西欧先進国であるスウェーデンでも十分でなく、リウマチ患者やリウマチ医への啓蒙が必要とする研究成果が報告された。スウェーデンLund大学病院リウマチ科のCarmen Roseman氏らが、6月10日から13日にコペンハーゲンで開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)のポスターセッションで発表した。

 RAの治療では、ステロイド抗リウマチ薬など免疫抑制作用のある薬剤を投与するため、かつては、RA患者へのワクチン接種は慎重にすべきという考え方が有力だった。しかし、複数の研究成果やリスク・ベネフィットのバランスの観点から、現在では他の慢性疾患患者と同様、高リスクグループとして、むしろ積極的にインフルエンザワクチンを接種すべきだとする意見が強くなりつつある。

 Roseman氏らは、自院外来のRAとSpAの患者で、肺炎球菌ワクチンについての研究を進めている430人について、患者の疾患と治療状況別に過去1年間のインフルエンザワクチン接種状況を調べ、属性ごとに接種率を得た。

 対象者は、(1)メトトレキサートMTX)のみ投与のRA患者(n=83)、(2)生物学的製剤のみ投与のRA患者(n=62)、(3)生物学的製剤とMTXを併用のRA患者(n=92)、(4)生物学的製剤のみ投与のSpA患者(n=58)、(5)生物学的製剤とMTXを併用のSpA患者(n=55)、(6)NSAIDs投与のSpA患者(n=80)。

 各群のインフルエンザワクチン接種率は、(1)〜(6)の順に30%、37%、21%、24%、29%、14%。全体では25%だった。またNSAIDsのみの(6)群を除き、何らかの免疫修飾治療を受けていた(1)〜(5)群では28%だった。

 この結果についてRoseman氏は、RAやSpAの患者に対するインフルエンザワクチンの接種率は低く、リウマチ医と患者の啓発による接種率向上の余地は大きいとしていた。

 2008年に発行された欧州のインフルエンザワクチン接種に関する合同調査報告「ヴェニスレポート」によれば、慢性疾患患者を含む高リスク群に対する接種率のサーベイランスを実施しているのは、英国、ドイツ、フランス、オランダなどの7カ国のみ。接種率は、オランダが75.2%で突出しており、他は27.6〜48.5%となっていた。

 スウェーデンは全国的なサーベイランスを実現していないが、Roseman氏らの研究で報告された接種率はこれらの国の水準に近い。今後、こうした調査を基に、各国の政策見直しや共同ガイドラインの制定など、様々な動きもでてきそうだ。