骨量の減少は、関節リウマチRA)のよく知られた合併症だが、オランダ・VU大学メディカルセンターリウマチ科のDanielle Eekman氏らは、1年間のインフリキシマブIFX)治療により、腰椎と大腿骨の骨密度の低下が抑制されることを過去に報告している(Vis M. et al:Ann Rheum Dis 2006;65:1495-1499)。同氏らは、コペンハーゲンで6月10日から13日まで開催された欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)のポスターセッションで続報を報告、2〜5年にわたってIFX治療を受けた患者の大腿骨では、むしろ骨密度の有意な増加が生じていたことを明らかにした。しかし、手掌骨の骨密度低下は抑制されなかったことも併せて報告した。

 同センターとSlotervaart病院では、IFX投与を受けたRA患者に対し、ベースライン時と治療開始後1、3、5年時に、腰椎(L1-L4)と大腿骨の骨密度測定を行っており、一部の患者については手掌骨の骨密度も測定している。Eekman氏らは、これらのデータを集計し、IFX治療開始後2年間の骨密度の推移をみるとともに、患者の人口統計学的背景因子、疾患・治療関連因子と骨密度変化の関係をレトロスペクティブに解析した。

 対象患者は、女性39例、男性13例の計52例。平均年齢は57±13.5歳、罹病期間中央値は9年(0.5〜43年)、ベースライン時のDASスコア中央値は5.28(2.10〜7.84)だった。52例中12例がビスフォスフォネートを、24例がプレドニゾンを使用していた。腰椎の平均Tスコアは-1.1±1.7、大腿骨の平均Tスコアは-1.24±1.16であった。

 およそ3.5年の追跡の間に、腰椎の骨密度は0.950±0.202g/cm2から0.968±0.194 g/cm2へと有意に増加した(P<0.05)。また、大腿骨の骨密度には有意な変化は認められなかった(0.799±0.162g/cm2→0.793±0.151 g/cm2)。一方、手掌骨のデータも備えた患者は17例であり、その骨密度は0.501±0.097g/cm2から0.487±0.086 g/cm2へと有意に減少していた(P<0.05)。

 以上のように、IFXは2〜5年にわたってRA患者の腰椎と大腿骨の骨密度低下を抑制し、特に大腿骨においては骨密度の有意な増加をもたらすことが示された。一方で、手掌骨の骨密度低下には歯止めがかけられなかったことも明らかとなり、ステロイドやビスフォスフォネートの影響を含め、今後の課題として残された。