スウェーデン・Karolinska InstituteのJulia Simard氏

 関節リウマチRA)治療における抗TNFα薬の位置付けは、ここ10年の間に「最後の切り札」から「発症早期から考慮すべき選択肢」へと変わった。コペンハーゲンで開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)の3日目、6月12日のポスターセッションで、スウェーデン・Karolinska InstituteのJulia Simard氏らは、こうした変化とともに抗TNFα薬の対象となる患者像も変化し、10年前に集計された安全性プロファイルにおける患者層と現在の患者層との間に違いが生じている可能性を指摘した。

 同氏らは、スウェーデンのRA患者レジストリー「ARTIS」に登録されたRA患者から、1999年1月1日〜2006年12月31日に、新たに抗TNFα薬を処方された患者6549例のデータを抽出し、登録年次の異なる患者群間のベースライン時の背景因子を比較した。

 その結果、年齢分布や男女比などには、登録年次による違いは認められなかった。しかし、平均罹病期間は1999年当時の13.2年から、2006年には10.6年へと減少していたのをはじめ、DAS28(5.9→5.0)、腫脹関節数(11.6→7.2)、疼痛関節数(10.4→7.1)などの疾患活動性の臨床指標、ESR(45.4→31.6mm/h)やCRP(46.5→23.9mg/L)などの炎症指標は、いずれも年次を経るごとに低下しており、HAQスコア(1.64→1.09)も著明に低下していた。一方、患者による疼痛評価(Pain VAS)と全般健康状態評価(Global Health VAS)には、さほど著明な変化はみられなかった。

 次にSimard氏らは、登録から1年以内の感染症による入院頻度と抗TNFα薬投与中止率の推移をみた。しかし、それらの値は各年次によってさまざまであり、年次経過に伴う変化のトレンドは認められなかった。

 以上の結果より、抗TNFα療法の主なターゲットとなる患者像は、10年前と現在では少しずつ変化していることが示された。Simard氏らは、「現在のターゲットたる患者層を対象とすると、安全性も以前ほど心配でなくなる可能性があり、新たな安全性の検証が必要ではないか」との意見を述べていた。