デンマーク・コペンハーゲン大学のM. Ostergaard氏

 関節リウマチRA)における画像的寛解、すなわちX線像上の関節破壊進行の抑制は、臨床的寛解・機能的寛解と並ぶRA治療の重要な目標である。デンマーク・コペンハーゲン大学のM. Ostergaard氏らは、6月10日から13日まで、同地で開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)で、同国の大規模患者レジストリーであるDANBIOのデータ解析結果を報告、抗TNFα薬によりRA患者の関節破壊の進行が抗リウマチ薬DMARDs)による治療下に比べて65%も抑制されていたことを示した。

 DANBIOは、同国における生物学的製剤使用患者の90%以上を網羅するデンマーク随一の患者レジストリーであり、人口統計学的データや臨床データ(疾患活動性、副作用など)、種々の検査値、QOLデータなどが登録されている。

 Ostergaard氏らは、DANBIOデータベースの登録患者のうち、2007年7月1日以前にDMARDsから抗TNFα薬への切り替えを行ったすべてのRA患者を同定。それらの患者の主治医から、(1)抗TNFα薬を開始する2年前(A時点)、(2)抗TNFα薬開始時(B時点)、(3)抗TNFα薬開始2年後(C時点)、の3時点における手、手首、前腕のX線写真157例分の提供を得た。

 患者の年齢は23〜79歳(中央値56歳)、女性比率は78%、罹病期間は0〜67年(中央値5年)であった。写真は匿名化のうえ、熟練した読影者により総SharpスコアTSS)と関節裂隙狭小化スコアJSN)、びらんスコアES)の評価を行った。

 その結果、上記A時点において15.7±23.7であったTSS平均値は、B時点では20.6±26.1へと増加し、C時点ではさらに22.7±27.5へと微増していた。しかし、A時点とB時点における差(ΔA-B:DMARDs治療下での関節像の変化)と、B時点とC時点における差(ΔB-C:抗TNF薬使用下での関節像の変化)は、それぞれ2.7±4.8、1.2±3.0であり、前者に比べ後者では進行が65%も抑制されていた(p<0.0001)。

 さらに、平均値ではなく中央値で比較した場合、TSSのΔB-Cは0となった。つまり、全157例のうち半数以上の患者ではTSSの増加が全く見られなかったわけである。同様に、JSNとESも中央値のΔB-Cは0であった。

 以上より、抗TNFα薬は、半数以上の患者において関節破壊の進行を2年にわたって完全に抑制し、患者全体での関節破壊の進行はDMARDs治療時に比べて65%も抑制されることが明らかとなった。

 抗TNFα薬により関節破壊の進行が抑制されることは、これまでにもいくつかの無作為化比較試験において示唆されていたが、実際の臨床のセッティングにおいてその具体的な効果が示された例は少ない。DANBIOのデータは貴重な報告といえよう。