産業医科大学・田中良哉氏

 「リウマチ薬=生涯続けなければいけない薬」という常識が変わるかもしれない。インフリキシマブIFX)治療によって疾患活動性の低下が得られた関節リウマチRA)患者に対して、投薬中止の可能性を探るRRRトリプルR)試験を遂行中の産業医科大学・田中良哉氏らは、IFXを中止した患者の55%が、中止から1年経過後も再燃や関節破壊の進行を伴うことなく、「IFXフリー」を続けていることを明らかにした。成果は6月12日、コペンハーゲンで開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)のオーラルセッションで報告され、臨床部門のEULAR awardを受賞した。

 RRR試験は、IFX治療により低疾患活動性(DAS28-ESR<3.2)を達成し、その状態が24週間以上継続している患者に対し、患者の同意が得られればIFXを中止し、その後のDAS28と総Sharpスコアの変化を2年間にわたって追跡するという試験である。今回は追跡1年時の中間解析結果が報告された。

 同試験には114例の患者が登録された。平均年齢は51.4±13.4歳、女性比率は76%であった。特筆すべきは平均5.9±6.7年という罹病期間の長さである。同じくIFXの寛解中止の可能性を検討したBeSt試験が平均罹病期間0.4年という発症早期症例を対象としていたのに対し、RRR試験では発症から5年、あるいは10年近く経過した患者においても、寛解中止の可能性があるかどうかが検討された。

 上記114例のうち、転院などにより12例が1年間の追跡を待たずに中途脱落し、残る102例が今回の解析対象となった。これらのうち29 例は1年時までにDAS28≧3.2となり、IFX投与が再開されていた。また、1年時の評価において新たに17例がDAS≧3.2となっていることが確認された。

 しかし、残る56例(55%)では、いまだDAS28<3.2の「低疾患活動性」が維持されていた。なかでも44例(43%)はDAS28<2.6の「寛解」状態にあった。

 次に田中氏らは、1年後のDAS28<3.2と相関する因子を検索する多変量解析を行った。その結果、RRR試験エントリー時(IFX休薬時)のDAS28が有意な予測因子として同定された(p=0.0005)。両者の相関曲線を基にIFX中止1年後のDAS28<3.2達成率を予測すると、IFX中止時のDAS28が2.22ならば50%の確率、1.34ならば75%の確率で1年後のDAS28<3.2が達成できると予測された。

 また、総Sharpスコアの年間進行度に目を向けると、ベースライン時に平均12.1だったが、RRR試験エントリー時には平均0.9へと低下し、IFX中止後は、中止成功群で0.2、中止失敗群で1.6となっていた。RRR試験エントリー時から1年後までの変化は、両群ともに有意ではなかった。

 以上のように、IFXにより低疾患活動性を達成し、IFXを中止したRA患者の55%は、1年にわたってIFXなしで良好な状態を維持できていることが明らかとなった。

 BeSt試験では、発症早期症例におけるIFXからの離脱の可能性が示されているが、今回のRRR試験により、比較的長期のRA罹患例においても離脱の可能性が示された意義は大きい。ただし、「IFXフリー」を達成するためには、中止前のDAS28を現在の寛解の指標である2.6未満よりかなり低く保つ必要があることも併せて示唆された。より厳格に疾患活動性をコントロールすることが、生物学的製剤フリー寛解、ひいてはドラッグフリー寛解への道を拓くカギといえそうだ。