仏パリ第11大学のXavier Mariette氏

 同じ抗腫瘍壊死因子(TNF)療法でも、薬剤の種類によって結核発症率に差が生じる可能性があることが分かった。仏パリ第11大学のXavier Mariette氏は6月12日、欧州リウマチ学会(EULAR)の一般口演で、受容体製剤を使った場合に比べ、抗体製剤を使った場合の方が、結核の発症率が高まる可能性を示した。

 Mariette氏らは3年間にわたり、フランス国内の490施設で抗TNF療法を受けた患者について、感染症リンパ腫の発症率を調べた。発症については、すべてのケースについて専門家で構成された委員会で評価した。研究グループは、感染症やリンパ腫の発症者1人につき、性別、年齢、疾患背景が一致し、抗TNF療法を受けている2人の対照症例を置く症例対照研究を実施した。

 3年間に67人(うち女性60%)が結核を発症した。年齢の中央値は60歳。原疾患の内訳は、関節リウマチが40人、強直性脊椎炎が14人、乾癬性関節炎が3人、クローン病が7人、Takayasu関節炎が1人、ベーチェット病が1人、乾癬が1人だった。最後に投与した抗TNF製剤がインフリキシマブだった患者は35人、アダリムマブが27人、エタネルセプトが5人いた。このうち11人が、2剤または3剤の抗TNF療法を受けていた。

 初めて抗TNF療法を受けてから結核を発症するまでの期間の中央値は52週だった。抗TNF療法を受ける前に、結核を予防するための化学療法を受けていたのは1人だけだった。その患者は33カ月後に結核を発症した。

 抗TNF療法を実施する前に、ツベルクリン皮内反応テストの結果、硬結が5mm未満だった患者は30人、陽性と見なされる5〜10mmだった患者は11人、10mm以上だった患者は4人、22人は皮内反応テストを行わなかったか、結果が不明だった。事前の胸部X線写真に問題があったのは6人(13人は未撮影)、9人は結核菌の暴露を受けた形跡があった。

 結核の臨床症状としては、29人が胸膜炎、37人がリンパ節炎や播種性結核、1人が一次結核を発症し、2人が死亡した。結核を再発せずに抗TNF療法を再開できたのは7人だった。

 症例対照研究の結果を多変量解析した予備的な結果によれば、結核の発症リスクとして挙げられたのは、年齢(ハザード比:1.04、p=0.03)、結核流行地域の出身(ハザード比7.2、p=0.008、抗TNF療法開始から結核発症までの期間(ハザード比:0.95、p=0.0006)、インフリキシマブの使用(対エタネルセプトの使用)(ハザード比:10.05、p=0.006)、アダリムマブの使用(対エタネルセプト使用)(ハザード比:8.63、p=0.02)だった。

 結局、2004〜2006年の追跡期間中、抗TNF治療を受けた患者の結核発症率は、10万人当たり39.2人/年(受容体製剤のエタネルセプトでは6.0人/年、抗体製剤のインフリキシマブまたはアダリムマブでは71.5人/年)だった。フランスの一般人口における結核の発症率は8.7人/年だった。

 この結果、同じ抗TNF療法でも受容体製剤に比べて、抗体製剤の方が結核を発症するリスクが高いことが示唆された。Mariette氏はその理由について、「日本の九州大学の研究グループが今年5月に札幌で開催された日本リウマチ学会で報告しているように、抗体製剤が、受容体製剤に比べてTNF産生細胞を強く叩く性質を持っているためではないか」(本サイトで既報、詳しくはこちら)と話していた。