オランダLeiden大学のN. B. Klarenbeek氏

 関節リウマチ(RA)治療における早期からの積極的治療の重要性を世に知らしめたランドマークスタディであるBeSt試験の追跡データが、パリで開催された欧州リウマチ学会で報告された。5年間の治療で4つの治療戦略群がたどり着いたゴールは同じであったが、HAQAUC(area under the curve)には有意な差が認められた。すなわち、短期間で難なくゴールに到着した治療群と四苦八苦の末たどり着いた治療群では、その間のQOLが大きく異なることが、オランダLeiden大学のN. B. Klarenbeek氏らによって示された。

 BeSt試験は、508例の早期活動性RA患者を対象に、(1)メトトレキサート(MTX)単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、効果不十分なら他剤に変薬(第1群)、(2)MTX単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、効果不十分なら他剤を追加(第2群)、(3)MTXと高用量ステロイドスルファサラジン(SSZ)の併用で治療を開始(第3群)、(4)インフリキシマブ(IFX)+MTXで治療を開始(第4群)の4つの治療戦略群間の比較試験である。各群の背景因子に有意な偏りはなく、ベースライン時の平均DAS44スコアは4.4、平均HAQスコアは1.4であった。

 5年後の平均HAQスコアは、第1群が0.64、第2群が0.60、第3群が0.63、第4群が0.45と、第4群が最も低値であったが、他の3群との差は有意ではなかった(p=0.08)。しかし、5年間のHAQの平均値はそれぞれ、0.70、0.70、0.62、0.54であり、他の3群に比べて第4群が有意に優っていた(p<0.001 vs. 第1群・第2群、p=0.01 vs. 第3群)。なお、第3群と第1群・第2群の間にも、有意な差が認められた(p<0.001)。

 また、5年後の寛解率(DAS44<1.6達成率)は、第1群が51%、第2群が45%、第3群が42%、第4群が51%であり、各治療群間に有意な差は認められなかった。ただし、第1群〜第3群の患者の多くは、治療法のステップアップの末に寛解を達成していた。最初に割り当てられたレジメンのみで寛解を達成できた患者は、寛解者の39%、46%、65%、81%であり、第1群・第2群に比べて第4群が有意に高率であった(p<0.001)。

 さらに、第4群の患者の過半数(58%)は、5年時までにIFXからの離脱を果たしていた。このうち19%は、すべてのRA治療薬から離脱を果たし、完全なdrug-freeとなっていた。Drug-freeは、第1群から第3群でもそれぞれ14%、16%、10%の患者が達成できていたが、逆にIFX+MTXへのステップアップを必要とした患者も21%、5%、11%に認められた。

 以上のように、5年時におけるHAQスコアと寛解率は、4つの治療群ともほぼ同等であったが、そこに至る道のりは一様ではなく、いち早くゴールに到達できた第4群が、最もADLの維持に優れていたことが明らかになった。一方で、早期から生物学的製剤を使い続けることには、コストの面などから抵抗を覚える向きもあるが、過半数の患者は5年時までにIFXから離脱できることが示唆された。今回、IFX群で認められた知見は、「ステップアップ治療」から「トップダウン治療」へと変わりつつあるRA治療の趨勢を、一層加速させるものとなるだろう。