スペイン・バルセロナ県立病院のHernandez氏

 インフリキシマブ(IFX)の有用性については、関節リウマチ以外の疾患領域でも注目されている。スペイン・バルセロナ県立病院のHernandez氏らは、炎症性眼病変である後眼部ぶどう膜炎に対するIFXの治療成績について、パリで開催された欧州リウマチ学会で報告。従来の治療法では治療が困難な症例において、高い有効性と安全性が確認されたことを明らかにした。

 本検討の対象は、コルヒチンシクロスポリンなどの免疫抑制療法(IMS)や全身ステロイド療法(GC)にてコントロール不良な非感染性の後眼部ぶどう膜炎症例14例(うち女性8例、平均年齢34.8歳)である。基礎疾患の内訳は、ベーチェット病5例、サルコイドーシス3例、びまん性網膜下線維症(diffuse subretinal fibrosis syndrome)・多発性脈絡膜炎 各2例、特発性血管炎散弾網脈絡膜炎各1例であった。

 Hernandez氏らは、これらの患者に対し、0、2、6週と以後8週ごとにIFX(5mg/kg)を静注投与するスケジュールで治療し、1年間の追跡を行った。評価項目は、視力炎症前房の炎症細胞所見硝子体炎血管炎網脈絡膜の浸潤および/または黄斑浮腫)、新たな発作の発現、IMSおよびGCからの離脱である。また、黄斑部浮腫を認める患者については、光干渉断層計(OCT)検査による黄斑部肥厚の計測も行った。

 その結果、14例中13例(92.8%)の患者で、炎症の改善とともに視力の回復が認められた。回復の度合いは、スネレン視力表の3ライン以上の改善が1例、1〜3ラインの改善が11例、1ライン未満の改善が1例であった。71%の患者は1回のIFX投与で速やかに回復が得られた。また、OCT検査を施行した5例においては、4例(80%)に黄斑部肥厚の改善が認められた。

 発作の発現は、ベーチェット病症例の1例において治療開始後まもなく認められたが、この症例はその後新たな発作を起こすことなく、IMSおよびGCからの離脱を果たすに至った。この症例を含め、GCを用いていた11例中9例はGCの減量に成功し、うち5例は完全な離脱を果たした。また、IMSが行われていた8例のうち6例がIMSから離脱した。

 全14例中2例は、寛解により1年以内にIFXの投与が中止された。一方で、効果不十分であった1例のほか、有害事象を呈した2例(投与時反応1例、感染症1例)ではIFX投与が中止された。寛解による中止例は、中止後にも発作の再発をみることはなかったが、副作用による中止例では、IFX中止後に再発が認められた。

 わが国では昨年、世界に先駆けてベーチェット病に伴う難治性網膜ぶどう膜炎に対するIFX投与が承認されたが、今回の報告で、従来療法でコントロール不良な後眼部ぶどう膜炎症例に対するIFX治療は、ほとんどの患者において安全かつ有効であることが確認された。