TNFαの関与が推測される全身性炎症疾患のなかには、関節リウマチ(RA)と同じように抗TNF薬の効果が期待される疾患が少なくない。特に、既存の方法で治療できない患者に対しては、抗TNF薬投与も試みられている。フランス・ペレグラン病院のC. Lacoin氏らは、こうした試みに関する報告のシステマティックレビューを行い、現段階での有効性の評価をまとめ、パリで開催された欧州リウマチ学会(EULAR)で発表した。

 同氏らはまず、1966年から2008年2月にMEDLINEに収載された英語もしくは仏語の論文から、既に抗TNF薬の有用性が確立されている疾患(RAや強直性脊椎炎クローン病など)以外の疾患に対する抗TNF薬治療の成績を検討した臨床試験ケーススタディ総説の検索を行った。また、2005年と2006年の米国リウマチ学会(ACR)欧州リウマチ学会(EULAR)における発表アブストラクトからも手作業による抽出を併せて行った。

 その結果、224文献が同定されたが、これらのうち、少なくとも2例以上の全身性疾患への治療成績を報告した文献は77報のみであり、巨細胞動脈炎(GCA)リウマチ性多発筋痛症(PMR)色素性紫斑性苔癬様皮膚炎サルコイドーシスヴェーゲナー肉芽腫膿皮症ベーチェット病TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)SAPHO症候群高安病筋炎スティル病結節性動脈周囲炎(PN)再発性多発軟骨炎強皮症の15疾患が取り上げられていた。しかし、筋炎以下の5疾患は例数が不十分であったり、意見が一致していないなどの理由により、有効・無効の判断を下すには至らなかった。

 残る10疾患のうち、GCAとPMR、色素性紫斑性苔癬様皮膚炎については、抗TNF薬の有効性は認められなかった。しかし、サルコイドーシスとヴェーゲナー肉芽腫、膿皮症、ベーチェット病、TRAPS、SAPHO症候群、高安病の7疾患に関しては、抗TNF薬の有効性が示唆されたという。

 以上より、全身性炎症疾患のうちいくつかの疾患は、抗TNF薬による治療が有効である可能性が示唆された。